主催: 日本化学会情報化学部会
共催: 日本薬学会, 日本農芸化学会, 日本分析化学会, 日本コンピュータ化学会, 教育システム情報学会 (協賛)
p. P06
ウイルス感染症治療において薬剤耐性ウイルスの出現は避けられない問題であり、その対策として薬剤耐性の迅速な評価は重要な位置を占める。そこで薬剤耐性ウイルスの簡便な評価法として、対象とする蛋白質変異の情報と既知の結晶構造のみを用いたドッキングスタディによる手法を開発した。本発表では本手法の適用範囲を拡大することを目的としてHIV-1プロテアーゼ阻害薬であるアタザナビル及びインフルエンザのノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビルに本手法を適用した。未変異体及び29種類の変異体を含む30種類のHIV-1プロテアーゼに対して、アタザナビル耐性の評価を行ったところ、強い耐性を持つプロテアーゼについては十分に評価することができた。また、オセルタミビルとノイラミニダーゼについてはB型とH1N1、H3N2、H5N1亜型のそれぞれについて未変異体、弱耐性変異体、強耐性変異体の3種類の評価を行ったところ、B型とH1N1亜型の強耐性変異体については十分な評価ができた。