中部日本整形外科災害外科学会学術集会 抄録集
第105回中部日本整形外科災害外科学会
セッションID: 2-D-O-3
会議情報

O-25 腫瘍1
上腕骨転移性骨腫瘍の治療経験
永原 亮一奥村 朋央宮田 誠彦藤田 裕
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】上腕骨転移性骨腫瘍の治療において当科ではなるべく低侵襲な治療法を選択してきたが、十分な治療効果が得られたかどうかを検討した。【対象、方法】2001年4月から2005年6月までの間に当科で治療した上腕骨転移性骨腫瘍4例について治療結果、治療中に生じた問題点について検討した。【結果】初診時に病的骨折を生じていた3例で手術を行った。横止め式髄内釘、エンダー釘、ラッシュピン各1例でいずれも病巣の展開、腫瘍切除は行わず内固定のみを行った。3例中2例に放射線治療を併用した。病的骨折を生じていなかった1例は放射線治療のみを行なった。治療後の上肢機能は、2例では一時的に生活動作で使用可能となったが2例では使用不可能であった。疼痛は全例で一時的には改善したが鎮痛薬の使用は継続していた。横止め式髄内釘を行った1例は術後4か月で近位横止めスクリューの折損、ネイルの近位への逸脱を認めた。放射線治療のみを行った1例では病巣の進行のため1年2か月後に再照射を行なったがさらに1年後の現在、さらに病巣が拡大し疼痛も増悪している。【考察】当科ではなるべく低侵襲な治療法を選択してきたが、治療効果は十分とは言えなかった。骨皮質の欠損の大きな病的骨折例、放射線治療後に腫瘍が増大する例などで、長期の予後が見込め、手術侵襲に耐えられる症例では病巣部の切除を可及的に行い、人工骨頭置換または髄内釘+骨セメントにより支持性を得るほうがよいと考えられた。
著者関連情報
© 2005 中部日本整形外科災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top