Rinsho Shinkeigaku
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Perioperative management of patients treated with satralizumab
Manabu InoueShingo MaedaHirotsugu Ohashi
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2024 Volume 64 Issue 4 Pages 302-303

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拝復

我々の論文「サトラリズマブ使用中に大腿骨頭壊死症に対して人工股関節全置換術を行った視神経脊髄炎スペクトラム障害の1例」1に関してサトラリズマブ(satralizumab,以下SATと略記)の作用を含め周術期の重要なご指摘をいただきありがとうございます.ご指摘の点について補足させていただきます.

SATの治療期間ですが,ご指摘の通りSATの投与期間は治療効果の有無を判断する上で大変重要な要素です.ご指摘にあるようにSATの治療効果はIL-6を介した間接的な効果であるため,投与期間が短い症例では効果が十分に見込めない可能性があります.本例は治療開始から10カ月の投与を行っておりますので,sIL-6R濃度が定常状態に達する8週間,再発患者が減少する6カ月以上の投与期間となっており,SATの治療が期待できる期間と判断しておりました.また,ご指摘いただきました導入目的としては,本文では「プレドニゾロンの減量困難と股関節痛のため」,SATを導入しましたと記載しましたが,ご指摘いただいたように正確には「プレドニンゾロン減量と可能なら中止とタクロリムス中止,痛みの軽減効果を期待して」となります.

タクロリムス(TAC)の投与に関しては,プレドニゾロン減量を目的として当初アザチプリンを投与されましたが肝障害を認めたことからTACに変更されました.TAC導入はSATより前ですが,多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン20172からも3 ‍mgは適量の範囲と判断しておりました3

本例では,SATの投与から8週間後(sIL-6R濃度が定常状態)よりプレドニゾロンの減量を開始いたしました.ご指摘の通りプレドニゾロン10 ‍mg/日以上を長期に内服していたため副腎機能不全の可能性には十分に注意を払うべきと考えておりました.そのため,2~3カ月に1 ‍mgを目途に減量し,副腎不全の兆候が無いか来院時の体温・診察だけでなく血液検査でも確認するようにしておりました.また,手術によるステロイド補充療法として手術担当科より術前にプレドニゾロン10 ‍mgを点滴で追加投与されました.プレドニン減量開始から術前までの経過中に,ご質問にあるような好酸球数の増多は認めませんでした.また,手術前後の一連の経過中の好酸球数も1%未満で増多は示しませんでした.そのため,ご指摘いただいた副腎不全を発症した可能性は低いと判断しておりました.

最後に,長期ステロイド投与患者への術後管理につき重要な点をご指摘いただきありがとうございました.症例を報告すると治療経験の豊富な先生から様々なご指摘いただけるためいつも心より感謝しております.

利益相反

著者全員に本論文に関連し,開示すべきCOI状態にある企業,組織,団体はいずれも有りません.

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