Rinsho Shinkeigaku
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
Original Articles
Rehabilitation therapy for aquaporin-4 antibody positive neuromyelitis optica spectrum disorders
Junko Ikeda Kazuki MugurumaKazuhide OchiSatomi KushitaniYumiko KasedaHirofumi Maruyama
Author information
JOURNAL OPEN ACCESS FULL-TEXT HTML

2025 Volume 65 Issue 1 Pages 16-21

Details
要旨

回復期リハビリテーション(リハ)治療を行ったaquaporin-4抗体陽性視神経脊髄炎スペクトラム障害(neuromyelitis optica spectrum disorders,以下NMOSDと略記)45例を検討した.リハ治療中に再発した3例を除いたExpanded Disability Status Scale of Kurtzkeは中央値で1ポイント改善した.病態修飾薬(disease-modifying drug,以下DMDと略記)は副腎皮質ステロイド薬が最も多く使用されていた.6例が有熱性の感染症を併発した.34例が自宅退院したが,80歳代は半数が医療療養型病院に転院した.NMOSDのリハ治療には適切なDMDによる再発リスク低減,感染症の予防が重要であり,医療連携による情報共有が有用と考えられる.

Abstract

Forty-five cases with aquaporin-4 antibody-positive neuromyelitis optica spectrum disorders (NMOSD) who underwent convalescent rehabilitation were studied. After excluding three cases with recurrence during rehabilitation treatment, the Expanded Disability Status Scale of Kurtzke improved a median of 1 point. Corticosteroids were the most used disease-modifying drugs (DMDs). Three cases relapsed during rehabilitation treatment. Six cases developed febrile infections. Thirty-four cases were discharged home, but half of the cases in their 80s were transferred to a medical care hospital. In the rehabilitation treatment of NMOSD, reducing the risk of recurrence by appropriate DMDs and preventing infections are important. Information sharing using a regional collaborative medical care plan is useful.

前文

視神経脊髄炎スペクトラム障害(neuromyelitis optica spectrum disorders,以下NMOSDと略記)は,脳,脊髄,視神経に炎症が起こる再発性の自己免疫疾患である.初発であっても1回の発作で重度の障害を引き起こすことは珍しくなく,急性期治療に引き続き回復期リハビリテーション(リハ)治療を要する頻度も高い1.しかしながら患者数が脳卒中や運動器疾患と比較すると少なくリハ医療ではNMOSDは稀な疾患である.また脳神経内科医が実際にリハ治療に携わる機会は多くないと考えられることから亜急性期のリハ医療からみたNMOSDの検討は多くない.

本論文では,NMOSDのリハ治療の検討から病態修飾薬(disease-modifying drug,以下DMDと略記)とリハ治療における課題,治療効果を最大限上げるために必要な条件を考える.

対象・方法

当院で2008年4月から2023年3月までに再発に伴う急性期治療後に当院に紹介され回復期リハ治療を行ったaquaporin-4(AQP4)抗体陽性NMOSD 45例について診療録から後方視的に検討した.45例には再発により同一患者が異なる時期に複数回入院した症例が含まれ,1入院を1例として扱った.患者数は1回のみの入院が30名,複数回入院した患者が7名(3回が1名,2回が6名)である.リハ治療前の認知機能についてMini-Mental State Examination(MMSE)を用いてスクリーニングを行なった.臨床評価は,Expanded Disability Status Scale of Kurtzke(EDSS),Functional Independence Measure(FIM)を用いた.リハ治療中のDMDの内容,内服薬の種類の数,入退院時の排尿状態,尿路感染症など合併症の併発,リハ治療中のNMOSDの再発,退院先について検討した.統計解析は,リハ治療中に再発した症例を除きリハ治療前後の臨床評価についてEZRを使用したWilcoxon’s signed rank testを行ないP < 0.05を有意水準とした.本研究は広島市立リハビリテーション病院倫理委員会の承認を得た臨床観察研究である(承認番号 令和5-2,承認日2023年5月12日).

結果

45例のプロファイルをTable 1に示す.性別は男性8例,女性37例,発症年齢の中央値は54歳(四分位範囲47~62),リハ入院時の年齢の中央値は58歳(四分位範囲50~72),罹病期間(年)の平均は4.0年,中央値は0年(四分位範囲0~5)で最大は35年だった.再発から回復期リハ入院までの日数の中央値は37日(四分位範囲28~52),自己抗体はAQP4抗体が45例(100%)で陽性だった.複数回入院例を統合すると男性7例,女性30例,発症年齢の中央値は54歳(四分位範囲47~67)で,37例のうち何らかの併存疾患,既往歴を28例に認めた.骨折の既往は3例(腰椎圧迫骨折2例,大腿骨近位部骨折が1例)にあり,うち2例は罹病期間が35年(発症年齢20歳,リハ入院時55歳)と21年(発症年齢53歳,リハ入院時74歳)で長期に副腎皮質ステロイド薬を投与されていた.

Table 1 Basic characteristics of cases with AQP4-IgG-positive NMOSD.

AQP4-IgG-positive NMOSD Consolidation of multiple hospitalization cases
Patients n = 45 n = 37
Sex (male/female) 8/37 7/30
Age, years, median (IQR) 58 (50–72)
Age at onset, years, median (IQR) 54 (47–62) 54 (47–67)
Period of illness, years, median (IQR) 0 (0–5)
Time from onset to admission, days, median (IQR) 37 (28–52)
Inpatient days, median (IQR) 99 (64–148)
Number of recurrences, median (IQR) 1 (1–3)
Core clinical characteristics (includes duplicate cases) Optic neuritis 4, acute myelitis 40,
area postrema syndrome 2,
acute brainstem syndrome 7,
symptomatic cerebral syndrome
with NMOSD-typical lesions 5
Comorbidities (two or more cases, one case was excluded) Diabetes 8, malignancy 4,
Sjögren’s syndrome 3,
history of fracture 3,
lumbar herniation 3,
depression 2,
cervical spondylosis 2
Diabetes 7, malignancy 4,
Sjögren’s syndrome 3,
history of fracture 3,
lumbar herniation 2

AQP4: aquaporin-4, NMOSD: neuromyelitis optica spectrum disorders, IQR: interquartile range.

入院の契機となった直近の再発の主要臨床症候(重複を含む)は,急性脊髄炎が最も多く40例(88.9%),その他は急性脳幹症候群7例,症候性大脳症候群5例,視神経炎4例,最後野症候群2例だった.この中には視神経炎単独の症例は含まれず,脊髄炎の既往又は同時に脊髄炎を発症していた.再発回数1回(初発)の症例が24例(53.3%)と一番多かった.再発回数2回が5例,3回が6例,4回が2例,5回が1例,6回が1例,7回が1例,8回が1例,10回以上の症例が4例あった.10回以上のうち1例は再発が多すぎて患者本人が回数を把握しておらず,紹介状からも正確な回数を特定できなかった.

DMDを使用している患者は45例中42例(93.3%)で3例は無治療だった.プレドニゾロン(PSL)は40例(88.9%)に使用されており,入院時平均22.4 ‍mg(最大45 ‍mg,最小5 ‍mg),退院時平均17.0 ‍mg(最大30 ‍mg,最小5 ‍mg)に漸減された.PSLを中止した症例はなかった.PSL単独使用例は23例,PSLと免疫抑制剤の併用例は17例だった.免疫抑制剤は19例(42.2%)が内服しておりタクロリムス10例,アザチオプリン6例,シクロスポリン3例に使用されていた.生物学的製剤の使用例はなかった.退院時処方の種類は,平均10.4種類,最高17種類であり副腎皮質ステロイド薬の副作用に関連して抗潰瘍薬,骨粗しょう症治療薬,睡眠導入剤,降圧剤,血糖降下薬,しびれや疼痛緩和を目的とした神経障害性疼痛治療薬や抗痙攣薬が主だった.

在院日数の中央値は99日(四分位範囲64~148日)で理学療法,作業療法,言語療法を個々の症例に必要な組み合わせで1日平均7.4単位(147分)施行した.MMSEは34例で入院時と退院時に検査され,2回のMMSE施行の間は中央値84.5日(四分位範囲52.75~136.25)だった.MMSEの入院時の中央値は29ポイント,退院時の中央値29ポイントであり大部分の症例で認知機能は保たれていた(P = .11).

入院時の尿路管理は31例が自排尿可能,医療者による導尿8例,間欠自己導尿4例,尿留置カテーテル2例だった.退院時の尿路管理は医療者による導尿を行なっていた8例中6例が間欠自己導尿に移行,1例は尿留置カテーテルになり1例は自排尿可能となった.入院時尿留置カテーテルの2例のうち1例は自排尿が可能になった.入院中,発熱を伴う感染症を併発した症例は6例(13.3%)あり,うち尿路感染が5例を占めていた.肺炎と心不全を併発した1例と尿路感染から敗血症を併発した1例の計2例は急性期病院に一時的に転院を要し治療後に再入院した.

入院中再発して急性期病院に転院した症例は3例(6.7%)あった(Table 2).入院中の再発例のうち1例は妊娠合併例でDMDを使用していなかった.2例はPSLと免疫抑制剤を併用していたが再発した.回復期リハ入院から再発までは34日から53日,前回再発から回復期リハ入院中の再発までの期間は74日から104日だった.

Table 2 Three cases with recurrence during rehabilitation intervention.

Case Age (y) Sex Core clinical characteristics Inpatient days Number of days from the last relapse EDSS score
at admission
EDSS score
at discharge
DMD PSL at admission
(mg)
PSL at discharge
(mg)
TAC (mg)
1 31 Female Acute myelitis 53 104 7.5 7.5 No 0 0 0
2 55 Female Acute myelitis 34 74 7.0 7.0 Yes 20 20 0
3 83 Male Acute myelitis 39 102 9.5 9.5 Yes 5 5 3

EDSS: Expanded Disability Status Scale of Kurtzke, DMD: disease-modifying drug, PSL: prednisolone, TAC: tacrolimus.

リハ入院中に再発した3例を除いた42例のEDSSの中央値‍は回復期リハ入院時7.0,退院時6.0で1ポイント低下(P ‍< ‍.001)した.EDSSの平均値,標準偏差は,リハ入院時7.3 ‍± 1.4,退院時5.9 ± 1.7だった.機能別障害度(Functional system,以下FSと略記)の錐体路機能は入院時中央値4から退院時3(P < .001),FSの膀胱直腸機能は入院時中央値2から退院時中央値1に改善した(P < .001).FIMの中央値は入院時81.5から退院時115(P < .001),運動FIMの中央値は入院時53から81(P < .001)に改善した.運動FIMにおける移動(歩行)の中央値は,入院時1から退院時6(P < .001),排泄コントロール(排尿管理)の中央値は,入院時4から退院時6に改善した(P < .001).認知FIMの中央値は入院時33,退院時35(P < .01)であり下位項目では問題解決の改善が平均0.9ポイントと最も大きかった.FIMの改善は運動FIMの改善の寄与が大きかった(Table 3).

Table 3 Comparison of rehabilitation interventions at admission and at discharge.

Admission Discharge P value
EDSS score 7.0 (6.5–8.5) 6.0 (4.5–7.0) P < .001
FS (Pyramidal function) score 4 (3–4) 3 (2–3) P < .001
FS (Bowel and bladder) score 2 (1–4) 1 (0–2) P < .001
Total FIM score 81.5 (61.75–104.75) 115 (103–118) P < .001
Motor FIM score 53 (29–69.75) 81 (73–84) P < .001
FIM Locomotion/Walk score 1 (1–5) 6 (2.5–6) P < .001
FIM Sphincter control/Bladder management score 4 (1–6.75) 6 (6–7) P < .001
Cognitive FIM score 33 (31–35) 35 (33–35) P < .01
MMSE score 29 (25–30) 29 (27–30) P = .11

EDSS: Expanded Disability Status Scale of Kurtzke, FS: Functional System, FIM: Functional Independence Measure, MMSE: Mini-Mental State Examination, Data are shown as the median ( interquartile range).

最終的な45例の退院先は34例(75.6%)が自宅,2例が自立訓練施設,1例が特別養護老人ホーム,NMOSDを再発した3例が急性期病院に転院して当院に戻らず,5例がその他の病院(3例がリハ目的,2例が療養目的)へ転院した.年代ごとに退院先をみると70歳代までは自宅退院の比率が大きかったが,80歳代では4例中2例が医療療養型病院へ退院し1例のみが自宅へ退院した(Table 4).

Table 4 Discharge destination for 45 cases with AQP4-IgG-positive NMOSD by age group.

Discharge destinations Age group Total
20s 30s 40s 50s 60s 70s 80s
Home 1 2 5 12 5 8 1 34
Daily living training facilities 1 1 2
Nursing home 1 1
Acute care hospital 1 1 1 3
Other hospital 1 2 2 5

AQP4: aquaporin-4, NMOSD: neuromyelitis optica spectrum disorders.

考察

多職種による集学的リハビリテーションは,高次脳機能,身体機能,心理状態等の評価に基づいた治療計画の立案,実行により効果を上げる.我々は,2016年に20例の再発発作後のNMOSDに対するリハ治療の報告2を行っているが,今回の検討はAQP4抗体陽性NMOSDという均質化された症例を対象とした.我々の報告2以外にNMOSD再発発作後のリハ治療に関する多数例の検討は3編ある.そのうち1編ではAQP4抗体の有無によるリハ治療のアウトカムに差はなかったことが記載されている3.EDSSについては,リハ治療前後で平均EDSSが7.2から6.33,8.0から6.254に改善,中央値でEDSS 7.5から6.0に改善5したことが報告されている.我々の検討でもリハ治療前後でEDSSは平均1.4ポイント,中央値で1ポイント改善しており既報告に近い結果であった.

EDSSの改善が自然回復,急性期治療による効果,リハビリテーション治療の効果のいずれであるのか判別は難しく,これらが複合した結果である可能性がある.この点についてSuoら5は,発作後に副腎皮質ステロイド療法を施行されたNMOSDについて集学的リハ治療を行った群とリハ治療を行わない通常ケア群に分けて比較検討している.リハ治療群,通常ケア群ともに12週間後にEDSSの改善を認めたが,リハ治療群と通常ケア群を比較すると有意差を持ってリハ治療群のEDSSの改善が大きく,さらにFSの錐体路機能,膀胱直腸機能,精神機能についても同様であったことを報告している.個々の既報告はリハ治療の内容や量が異なるため比較は難しいが,急性期治療に引き続いて行われるリハ治療は,NMOSDの運動機能などの回復を促進する可能性を示唆する.

FIMは,我々の検討で入院時81.5から退院時115に上昇した.この殆どは運動FIMの改善によるものだった.NMOSDと多発性硬化症(multiple sclerosis,以下MSと略記)の入院リハ治療効果を比較した論文でNMOSDはリハ治療前後で平均79から98に統計学的に有意にFIMが改善し,MSと比べて改善度が大きいことが示されている3.その理由としてNMOSDは認知機能やコミュニケーションに問題がある患者がMSよりも少ないことが考察されている.我々の検討でも脊髄炎の患者が多いことを反映してMMSEは保たれている患者が多かったことがFIMの大きな改善につながったと考えられる.リハ治療前後の比較でMMSEは変化なかったが認知FIMは改善を認め,特に問題解決の点数の改善が大きかった.MMSEでは評価できない部分である社会的認知の改善がリハ治療で得られたと考える.

NMOSDのリハ治療は,再発発作後1~6ヶ月程度の期間に行われることが多い.NMOSDの再発から1年間は再発が群発する再発クラスター期といわれ,特に再発のリスクに注意が必要な時期である6.従って回復期リハ治療期間はまさにクラスター期と重なることからリハ治療効果を最大限得るためにはDMDを適切に使用しながらリハ治療を行うことが求められる.3ヶ月でEDSSが1ポイント改善したとしても,再発をおこせば元の状態以上に障害度が悪化する可能性が高い.今回のリハ治療期間に3例(6.7%)が再発した.3例のうち1例は妊娠中ということでDMDが投与されていなかった.MSと異なりNMOSDの妊娠中に再発リスクが下がることはなく7,妊娠中から産後にかけては再発リスクが高まり,妊娠中の疾患活動性上昇が妊娠転帰の悪化と関連する可能性も指摘されている8.可能であれば,妊娠中も適切なDMDを継続してリハ治療を行うことが望ましい.2例はステロイドや免疫抑制剤を投与されていたが再発した.回復期リハ治療期間は再発クラスター期であること,DMDを使用していても一定数の再発があることはリハ治療を行う上で常に考えておく必要がある.

PSLは約9割の患者に使用されていた.入院時の用量は平均22.4 ‍mgでリハ治療期間のPSLの漸減が平均5.4 ‍mgに留まっていた.またPSLを中止した症例はなかった.これは再発予防の観点から止むを得ず,副腎皮質ステロイド薬による高血圧,高血糖,骨粗鬆症,胃潰瘍,不眠など有害事象に対処しながらリハ治療や日中の活動ができるように全身状態を整えることが必要となる.睡眠障害は,薬剤の影響のみならず睡眠覚醒回路の障害,むずむず脚症候群,膀胱機能障害による夜間頻尿などの理由によりNMOSDに一般的に認めるとされる9.有痛性強直性筋痙攣を含む疼痛は,NMOSDの85%以上に認めると報告されており1011,我々の回復期リハ治療の検討でも50%に疼痛を認め,これらの患者は疼痛のない患者と比べて在院日数が長くなっていた2.これらの病態からNMOSD患者は必然的にポリファーマシーになっていることが多いと思われ,本検討でも平均10.6種類,最高では17種類の薬剤を内服していた.

有熱性の感染症の併発は13.3%に認め大部分は尿路感染症であった.これは神経因性膀胱に起因するものであり免疫抑制療法による易感染性も感染症発症率を上昇させていると思われる.腎盂腎炎に敗血症を合併した例は急性期病院へ転院加療を要した.重度の横断性脊髄炎を呈することが一般的なNMOSDは,下部尿路症候を来しやすく多発性硬化症と比較して腎盂腎炎の併発が多いことが報告されている12.このことはDMDを使用するにあたり注意する必要がある.NMOSDのリハ治療では,尿沈渣や尿培養検査を行い尿路感染症のリスクを評価することが重要と思われる.転帰は70歳代までは自宅退院が可能な症例が多いことからDMDの選択幅は大きいと考えられる.80歳代になると退院先が医療療養型病院になる可能性が高まることから高額なDMDの継続が難しくなるケースが多くなると思われる.

NMOSDのリハ治療の効果を最大限引き出す鍵は,再発リスクを可能な限り低減すること,感染症の予防,そして疼痛や不眠などのコントロールと考えられる.再発リスク低減についてAQP4抗体陽性例は生物学的製剤の有効性が報告されている13)~17.生物学的製剤を使用した場合ポリファーマシーを改善する可能性があると思われるが,重症感染症を併発する可能性を考えておく必要がある18.急性期病院からリハ治療目的に転院した場合,生物学的製剤の使用は一般的には困難と考えられるが,リスク評価,退院先の予測を行った上で,感染症発症時の対応について急性期病院と連携が取れる体制であれば不可能ではないと考える.

急性期病院から回復期病院へ地域連携診療計画書を用いた情報共有を行うことで,患者背景や状態の把握,EDSSの継続的な評価,感染症の評価,適切なDMDの選択と継続などが可能になると思われる.さらにリハ治療終了後の治療を担当する医療機関への情報提供が確実になる.リハ治療での入院は数ヶ月の時間があるため患者への疾患教育,DMDのshared decision making19を行うことが可能である.地域連携診療計画書を用いた医療連携は,急性期,回復期,維持期を通じたNMOSD患者の治療,リハ治療効果を上げる可能性がある.

利益相反

著者全員に本論文に関連し,開示すべきCOI状態にある企業,組織,団体はいずれも有りません.

文献
 
© 2025 Japanese Society of Neurology

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
feedback
Top