Rinsho Shinkeigaku
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Case Reports
Two cases of Perry disease (Perry syndrome) in the same family with normal 123I-metaiodobenzylguanidine (MIBG) myocardial scintigraphy
Yoshito Take Ryuji SaigoHitoshi ArataYusuke SakiyamaKimiyoshi ArimuraHideki Ohkatsu
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2025 Volume 65 Issue 2 Pages 115-119

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要旨

症例1は53歳男性.48歳時から睡眠時無呼吸症候群を発症.53歳時に運転中に追突事故を起こし救急搬送された.意識障害,パーキンソニズムを認め,後に原因不明の肺胞低換気で人工呼吸器管理となった.症例2はその妹で46歳女性.うつ病の加療中であり,43歳頃からパーキンソニズムを認めた.両症例ともmetaiodobenzylguanidine(MIBG)心筋シンチグラフィーは正常であったが,父にも原因不明の肺胞低換気で人工呼吸器管理となった病歴があり,エクソーム解析を行ったところ,DCTN1遺伝子に既報告のヘテロ接合性変異(p.Y78C)が判明し,Perry病と診断した.MIBG心筋シンチグラフィーはPerry病の診断に有用な検査だが,正常を示す例があり注意が必要である.

Abstract

This study investigated two cases. Case 1 involves a 53-year-old man who suffered from sleep apnea syndrome at age 48. Moreover, he was involved in a rear-end collision while driving and was admitted to the hospital at age. He exhibited impaired consciousness, postural tremors, and bradykinesia in the upper extremities. Subsequently, he was managed on a ventilator due to unexplained alveolar hypoventilation. Case 2 is his younger sister, a 46-year-old woman, who was being treated for depression and began to show signs of parkinsonism around age 43. The metaiodobenzylguanidine (MIBG) myocardial scintigraphy results were normal in both cases. Given that their father was also managed on a ventilator due to unexplained alveolar hypoventilation, exome analyses were performed. Both were found to have a previously reported heterozygous mutation (p.Y78C) in the DCTN1 gene and were diagnosed with Perry disease. Although MIBG myocardial scintigraphy is a useful test for diagnosing Perry disease, it is important to note that there are cases where it may yield normal results.

はじめに

Perry病(Perry症候群)は,1975年にカナダのPerryらによって発見された常染色体顕性(優性)遺伝の稀な疾患である1.平均48歳と若年で発症し,比較的急速に進行するパーキンソニズム,体重減少,うつ・アパシーなどの精神症状,中枢性呼吸障害を4徴候とする2Dynactin IDCTN1)遺伝子exon2の変異が原因であり3,病理学的には黒質の神経細胞死とTAR DNA-binding protein of 43 ‍kDa(TDP-43)の凝集体が見られる4DCTN1遺伝子変異はTDP-43 proteinopathyとしての筋萎縮性側索硬化症を引き起こすことも報告されているため,その機構解析から封入体形成機構,神経変性機序を明らかにできる可能性を秘めている5.Perry病患者は50歳以前に発症することが多く,発症からわずか5年以内に呼吸不全や突然死が起こるなど,疾患の進行が著しいことを考えると,早期に診断することは重要である6.本疾患では123I-metaiodobenzylguanidine(MIBG)心筋シンチグラフィーで心筋への集積低下が診断に有用な所見として報告されているが,同検査が正常であった同一家系の2例を経験したため報告する.

症例

症例1:53歳男性

主訴:意識障害

既往歴:睡眠時無呼吸症候群,過活動膀胱,気管支喘息.

家族歴(Fig. 1):父が中枢性睡眠時無呼吸症候群,原発性肺胞低換気,不随意運動の診断で,最終的に寝たきりとなり66歳で他界.妹が後述する症例2.

Fig. 1 Pedigree of the family.

Squares and circles indicate males and females, respectively. Family members with similar symptom are shown in gray. Arrows indicate proband. Diagonal lines indicate deaths. The proband’s father (I-1) died at the age of 66.

現病歴:48歳時より睡眠時無呼吸発作が出現した.52歳時に発作が頻回になり,同年運転中に眠気で年に3回交通事故を起こした.睡眠ポリグラフ検査(Polysomnography,以下PSGと略記)では無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index,以下AHIと略記)は51.5回/時で,SpO2の中央値は89%で,最低値は37%であった.睡眠時無呼吸症候群の診断で経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway Pressure: CPAP)が開始となった.53歳頃から口数が減り,自室に閉じこもりがちになり,右手指の振戦が出現した.同年某日から右下肢を引きずるようになり,振戦も悪化した.同日運転中に蛇行運転をし,緩やかなスピードで追突事故を起こし,意識が朦朧としていたため救急搬送となり,精査加療目的に入院となった.

一般所見:身長168 ‍cm,体重76.6 ‍kg,体温41°C,血圧130/89 ‍mmHg,脈拍140回/分,SpO2 95%(room air).全身に明らかな外傷はなく,身体所見に特記すべき異常はなかった.

神経学的所見:入院時の診察では意識レベルはJCS I-2で脳神経領域に異常は認めなかった.腱反射は正常で,病的反射は陰性であった.入院1週間後の診察時には意識清明で,両手指で姿勢時振戦と巧緻運動低下があり,両上肢で筋強剛も認めた.下顎反射及び四肢の腱反射は亢進していた.

検査所見:静脈血液ガス分析でPH 7.440,PaO2 35.1 ‍mmHg,PaCO2 41.8 ‍mmHg,HCO3 28.0 ‍mmol/lであった.白血球数11,330/μl,CRP 0.09 ‍mg/dl,CK 450 ‍IU/lであった.脳脊髄液検査,頭部MRIに異常はなく,脳波検査では後頭葉の基礎律動が不明瞭で,間欠性全般性不規則徐波がburstしては抑制される‍パターンを繰り返したが,明らかなてんかん波は認めなかった.‍人工呼吸器管理下で施行した心電図R-R間隔変動係数(CVR-R)は1.29%と低下していた(同年齢男性正常下限値:1.88%7).人工呼吸器管理下で施行した臥位と起座位での血圧比較試験では血圧の有意な低下はみられなかった(臥位:血圧155/100 ‍mmHg,脈拍91回/分,起座位:血圧155/104 ‍mmHg,脈拍94回/分).

入院後経過:不明熱の原因として感染症を考え抗生剤で加療‍した.入院2日後には意識レベルは改善したが,原因不明の肺胞低換気により気管挿管,人工呼吸器管理となった.パーキンソニズムの精査でMIBG心筋シンチグラフィー(Fig. 2A)を施行したが,Heart to Mediastinum比(H/M比)はearly 3.12,delayed 3.57と正常であった.123I-ioflupane single photon emission computed tomography(123I-ioflupane SPECT)では両側の線条体でほとんど無集積となるびまん性集積低下(burst striatum)を認めた(Fig. 2C).脳血流シンチグラフィー(123I-IMP)では,前頭葉内側や側頭葉前部で血流低下がみられた(Fig. 2E).入院後2ヶ月程度で四肢は完全弛緩性麻痺となり,開口位のまま閉口できず眼球運動のみ追従できた.腱反射は消失していた.入院からわずか3ヶ月で体重は約18 ‍kg減少した.家族歴があることから遺伝子検査を行ったところ,エクソーム解析でDCTN1遺伝子に既報告のヘテロ接合性変異(p.Y78C)が判明し(Fig. 3A),Perry病と診断した.完全弛緩性麻痺はPerry病には非典型な所見であり,critical illness neuropathyの合併が疑われたが,人工呼吸器管理のため神経伝導検査は未施行であった.

Fig. 2 Nuclear Medicine.

Metaiodobenzylguanidine (MIBG) myocardial scintigraphy of case 1. The H/M (heart/mediastinum) ratio is 3.16 and 3.16 (A). MIBG myocardial scintigraphy of case 2. The H/M ratio is 3.12 and 3.57 (B). 123I-Ioflupane SPECT showed almost no uptake in the putamen and caudate nucleus (burst striatum) in both cases (Left; C), (Right; D). 123I-N-isopropyl-p-iodoamphetamine SPECT of both cases (case 1; E) (case 2; F). The colors used in SPECT indicate the degree of depletion of blood: blue represents mild hypoperfusion; yellow represents moderate hypoperfusion; and red represents severe hypoperfusion.

Fig. 3 Electropherogram.

Electropherogram shows DCTN1 mutations. The red arrows indicate heterozygous A>G nucleotide substitutions at position 233.

症例2:46歳女性(症例1の妹)

主訴:運動緩慢

既往歴:うつ病.

現病歴:31歳時に出産を契機にうつ病を発症し,心療内科へ通院加療を開始した.40歳時にうつ病の悪化に伴い精神科へ転医した.43歳頃から運動緩慢が出現し,同時期から数ヶ月に1回程度車をぶつけるようになった.46歳時,症状の悪化に伴い,当院紹介となった.

一般所見:身長158 ‍cm,体重43.2 ‍kg,血圧や脈拍,体温,呼吸に異常はなく,身体所見に特記所見はなかった.

神経学的所見:初診時の診察では,意識清明で,認知機能障害はない.仮面様顔貌がみられ,嚥下・構音障害はないが小声であった.眼球運動は正常で,舌の萎縮はなかった.運動系では筋力は正常で,筋トーヌスは右優位に四肢で筋強剛を認めた.反復拮抗運動は右優位にわずかに拙劣で,右優位に両手指で姿勢時振戦が見られた.腱反射は四肢で亢進していたが,Babinski徴候は陰性であった.歩行は小刻みで,腕振りは減少していた.小脳性運動失調症状や感覚異常はなく,自律神経症状として軽度便秘を認めたものの,起立性低血圧はみられなかった.

検査所見:一般血液検査所見は特記すべき異常はなかった.CVR-Rは2.90%(同年齢女性正常下限値:1.74%7)であった.起立試験では,臥位と立位で血圧の有意な低下はみられなかった(臥位:血圧110/65 ‍mmHg,脈拍83回/分,立位:血圧114/78 ‍mmHg,脈拍99回/分).頭部MRIでは萎縮や頭蓋内病変は指摘できなかった.MIBG心筋シンチグラフィー(Fig. 2B)でH/M比はearly 3.12,delayed 3.57と正常であった(本症例は2例とも日本で標準化されたプロトコールを用いて実施した).123I-ioflupane SPECTでは症例1と同様にburst striatumを認めた(Fig. 2D).脳血流シンチグラフィーでは(123I-IMP)前頭葉内側で軽度の血流低下がみられた(Fig. 2F).

臨床経過:症例1の妹であり,遺伝子検査を行ったところ,本症例でもDCTN1遺伝子にヘテロ接合性変異(p.Y78C)が判明し(Fig. 3B),Perry病と診断した.PSGではAHIは1.1回/時と睡眠時無呼吸症候群は否定的であった.L-DOPAの内服を開始してパーキンソニズムは軽減した.

考察

本症例で認めたDCTN1遺伝子におけるp.Y78Cの変異は,日本では1家系目で,世界では韓国,ニュージーランドに続き3家系目であった289.2018年に提案されたPerry病の診断基準10では,パーキンソニズム,体重減少,うつ・アパシーなどの精神症状,中枢性呼吸障害の4徴候に加えて,パーキンソニズム又は呼吸器症状の家族歴を主要項目とし,検査項目ではDCTN1遺伝子変異とTDP-43病理を主要項目としている.また診断基準を支持する所見と支持しない所見についても提案され,検査項目では支持する所見にMIBG心筋シンチグラフィーでの集積低下が含まれている.本症例は両症例ともパーキンソニズム,アパシー・うつ症状,体重減少を認め,症例1は中枢性呼吸障害もみられた.発症年齢はそれぞれ呼吸障害とうつ症状を初発症状とした時に,48歳,31歳と若年発症であった.両症例ともMIBG心筋シンチグラフィーは正常であったが,診断基準ではDefiniteであった.

本症例と既報告例とのMIBG心筋シンチグラフィーを比較して表にまとめた(Table 1).本症例はどちらも発症から時間が経過していたが,症例1のCVR-R低値以外に自律神経障害を示唆する検査異常はなく,MIBG心筋シンチグラフィーは正常であった.既報告例では8例中7例でMIBG心筋シンチグラフィーで異常を示していたが11)~14,1例では本症例と同様に,発症から時間が経過していたが正常であった15.Perry病においてMIBG心筋シンチグラフィーが有用なバイオマーカーである可能性が報告されている一方で,本症例や,他の症例報告においてもMIBG心筋シンチグラフィーで異常を認めなかったPerry病の報告もある1516.本症例でMIBG心筋シンチグラフィーの異常を示さなかった理由を以下考察する.Perry病の病因はTDP-43の異常蓄積が考えられており,α-シヌクレインの異常蓄積が病因とされているパーキンソン病やレヴィー小体型認知症とは似て非なる疾患である.パーキンソン病やレヴィー小体型認知症では発症早期から心臓交感神経が障害されるため17,発症早期のMIBG心筋シンチグラフィーで異常を示すことが多いが,Perry病で発症早期から心臓交感神経が障害されているかどうかはまだ十分な検証がされていない.Perry病の既報告例で多くの症例で異常を示したのは,大部分が発症して数年以上経過してから検査を施行していたことが関係している可能性がある.本症例はパーキンソニズムが軽症で,明らかな自律神経障害がみられない時期に検査を施行したことが,正常を示した一因かもしれない.Mishimaら15によると,大牟田(OMT)のIII-10の患者ではMIBG心筋シンチグラフィーでH/M比1.37および1.22と異常を示していたが,2年前に行った検査ではH/M比2.20および2.20と正常であった.本症例においても検査をフォローすることで異常を示す可能性がある.また,変異の種類によってもMIBG心筋シンチグラフィーの異常に差異がある可能性があるが,他のp.Y78Cの変異例ではMIBG心筋シンチグラフィーの検査記録は確認できなかった.

Table 1 Comparison of MIBG myocardial scintigraphy between these cases and previously reported cases.

Author/Year Families Sex Mutation Age at onset Age at examination Four cardinal signs Autonomic symptoms MIBG myocardial scintigraphy (H/M ratio) (Cut off ratio: < 2.0)
P WL D/A R
Ohshima et al.,
201011)
FUK-4
II-3
F p.Q74P 61 64 + + + Pollakiuria, Uninhibited bladder, OH 1.5
Araki et al.,
201412)
OMT
III-10
F p.F52L 70 74 + + + 1.37/1.22
OMT
III-11
F p.F52L 48 68 + + + 1.34/1.08
Mishima et al.,
201613)
OMT M p.F52L 53 62 + + + + Constipation 1.82/1/65
Mishima et al.,
201514)
FUK-1
Case 1
M p.G71A 46 48 + + + + Uninhibited bladder 1.9/1.7
Mishima et al.,
202115)
MYZ M p.G71V 45 47 + NA + Urinary and fecal incontinence 1.83/1.90
MYZ F p.G71V 35 45 + NA + Paralytic ileus 2.20/2.14
HKD M p.K68E 53 54 + + + NA 1.87/1.63
Our cases,
2025
case 1 M p.Y78C 48 53 + + + + Pollakiuria, Urinary incontinence 3.16/3.16
case 2 F p.Y78C 31 46 + + Constipation 3.12/3.57

Abbreviations: F, female; M, male; FUK, Fukuoka; OMT, Omuta; MYZ, Miyazaki; HKD, Hokkaido; P, parkinsonism; WL, weight loss; D, depression; A, apathy; R, respiratory symptoms; OH, orthostatic hypotension; MIBG, metaiodobenzylguanidine myocardial scintigraphy; H/M, heart to mediastinum; NA, not available.

本症例はいずれも123I-Ioflupane SPECTでは線条体でほぼ無集積となる著明な集積低下(burst striatum)がみられた(Fig. 2C, D).他の報告1819でもSPECTまたはPETを使用したドーパミントランスポーター画像では,線条体への取り込みは一貫して著明に減少しており,黒質線条体ニューロンの変性は,保因者が発症する前から起こっていると考えられる2.一方で,MIBG心筋シンチグラフィーはPerry病の検査として有用とされているが,正常を示す例があるため,主要徴候,経過,他の検査所見などを総合的に判断した上で,病理もしくは遺伝子検査で診断することが必要である.Perry病は極めて稀な疾患のため,まだ十分な数の核医学画像の症例報告がされていない.核医学画像的特徴を明らかにすることで,早期診断の精度が上がる可能性があるため,今後の症例の蓄積が必要である.

謝辞

症例1の入院診療を担当した鹿児島大学病院 救急集中治療科の先生方,遺伝子を解析いただいた鹿児島大学大学院医歯学総合研究科神経病学講座脳神経内科・老年病学講座の安藤匡宏先生,髙嶋博先生,吉村明子さんへ深謝します.

Notes

本報告の趣旨は,第243回日本神経学会九州地方会にて発表しました.

文献
 
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