抄録
内部の否定として表現できない真の外部は,排他的関係を無効にすることで特徴付けられる特定の装置によって初 めて召喚可能となる.そのような装置は,本稿で「書き割り少女」によって表象されるが,それはチリの墓碑アニ ミータから構想されたものである.一方で,「書き割り」と呼び得るような山の背景画的表現が,日本画の歴史の中 で育まれてきたが,それは決して知覚できない山の背後にある外部を表すものである.他方,アニミータは,それ を弔う故人との関係を蒸発させて初めて,「人格的」となる.ここでいう「人格的」とは,墓碑銘のような意味を剥 奪するだけでなく,外部から純粋に神聖なものを召喚し,アニミータに纏わせることを意味する.ここではその意 味を前縁と境界の両義性から明らかにする.