共創学
Online ISSN : 2435-1261
記憶継承における共創の可能性
東日本大震災後のアートプロジェクトの事例分析
梶原 千恵
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2023 年 5 巻 1 号 p. 1-9

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抄録
本稿の目的は被災の当事者,非当事者が語りを共同創作するアートプロジェクトを分析し,記憶継承における共創の可能性を示唆することである.東日本大震災後,東北沿岸部では口頭で記憶を伝える語り部が多数活動しているが,震災から12 年が経過し次世代の担い手育成が課題になってきた.本稿では非当事者が語りを受け継ぐ困難を乗り越えるために,新たな視点として共創に着目し,アートプロジェクト『波のした,土のうえ』を事例に,プロセスや語りの形式を分析した.その結果,『波のした,土のうえ』では,<語りの共創>という独特の技法が用いられ,当事者の語りの定型に収まらない多様な語りが生まれ,関わった人々にもポジティブな作用をもたらしたことが分かった.
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© 2023 共創学会
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