抄録
リミナルスペースとは,日常と非日常の境界を曖昧にさせる働きにより現れるインターネットミームである.リミ
ナルスペースに現れる不在やノスタルジアといった感興は, 個人の側が自分の経験を任意の側の経験/未経験と混
同する結果,ノスタルジアが脱色された「痕跡としてのノスタルジア」として表出する.本研究ではこれに, 天然
知能の創造モデルである概念構造「トラウマ構造」を見出した.リミナルスペースはこの構造によって単純な境界
領域から全くの外部の空間へと開かれている.本研究はリミナルスペースに見られる創造性の論理構造を炙り出し,
未知なる時空間を作品制作によって具体的に表出させることを試みた.