鉄筋コンクリート構造に対して, 極限設計に踏み出しえない理由は, せん断破壊と復元力特性の解明が未解決である点にある。せん断強度については, 既往の実験資料に対する統計的推計学的研究と, 動力学的手法による理論的解析によって精度のよい算定ができることを述べている。そして, せん断破壊には圧縮せん断型, 曲げせん断型の2種類があることを考察し, 極限設計に適応できるものは後者の破壊形式であることを論ずると共に, 現行の日本建築学会鉄筋コンクリート計算規準の問題点をあげている。最後に, はり・柱のせん断変形に関する半理論式を導いて, 圧縮せん断型と曲げせん断型との限界についての判別法を提案している。