日本トレーニング指導学会大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-3323
Print ISSN : 2433-7773
第11回日本トレーニング指導学会大会
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口頭発表
空気圧負荷装置を用いたスクワットでの体重比負荷量における下肢筋パワーの違い
*小出 健大佐保 泰明佐野村 学手嶋 航平*牟田口 泰我
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p. 11-

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抄録
【トレーニング現場へのアイデア】空気圧負荷装置を用いて体重比による負荷設定で行った下 肢筋パワー測定は、従来の等速性筋力測定やフリーウエイトの測定とは異なる評価法として有 用である可能性が示された。そのため、安全性が高くトレーニングに活用される空気圧負荷装 置を活用して筋パワーを適切に評価することで、効果的なトレーニングにつながる可能性があ る。 【目的】下肢筋パワーは多くのスポーツ競技において重要であり、CybexやBiodexなどの「等速 性筋力測定器」や加速度計を用いたフリーウエイトでの測定が行われている。しかし「等速性 筋力測定器」による測定は単関節運動で、競技動作を反映しないなどの課題があり、フリーウ エイトでの測定は、体重比による複数の負荷量での下肢筋パワーの比較で有意差が認められず、 異なる負荷での下肢筋パワーの評価やトレーニングを行う際の指標として有用でない可能性が ある。安全に下肢筋パワー値を測定できる器具として空気圧負荷装置があるが、研究は少ない。 そこで本研究では、空気圧負荷装置を用いてスクワット動作を行い、複数の体重比負荷での下 肢筋パワー値の違いを明らかにすることを目的とした。【方法】対象は男子大学サッカー選手 25名(年齢:19.4±1.3 歳、身長:173.3±5.9 cm、体重:69.4±6.2 kg、体脂肪率:14.2± 3.5 %、競技歴:13.4±1.8 年)とした。下肢筋パワーの測定課題動作はスクワットとし、空 気圧負荷装置(Keiser Air 300 squat machine:Keiser社製)を用いて、5段階の体重比(50%、 75%、100%、125%、150%)による負荷量で測定した。各負荷3試行ずつ行い、試行間の休息時間 は1分とした。各負荷間の休息時間は3分とした。各負荷の最高値を解析に採用した。統計処理 は、得られたデータについてShapiro-Wilk検定を用いて正規性を確認した。負荷量間の下肢 筋パワーの比較には、正規性が認められなかったためFriedman検定を行った。多重比較には Bonferroni法を用いた。有意水準は5%とした。【結果】各負荷量における下肢筋パワーの値は (50%BW(BW:body weight):578.7±97.2 W、75%BW:822.7±141.6 W、100%BW:984.4±159.6 W、 125%BW:1199±193.9 W、150%BW:1374.3±203.7 W)であった。全ての負荷量間で有意差が認 められた(p<0.05)。【考察】先行研究において、フリーウエイトで行った下肢筋パワー測定で は体重比負荷量間で有意差が認められなかったが、空気圧負荷装置を用いた本研究では異なる 結果となった。そのため、下肢筋パワー測定に空気圧負荷装置を用いることは、従来とは異な る評価法として有用である可能性があり、またトレーニングへの活用が期待される。
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