導入期の日本企業における戦略とリスクテイキングに関する研究

抄録

　本研究の目的は，導入期の日本企業のリスクテイキングと企業業績の関係に加えて，企業の収益性との関係を明らかにすることである。リスクテイキングの指標は，先行研究で多く利用されているEBITDA/TA の標準偏差とした。なお，リスクテイキングと企業業績との間にはタイムラグを考慮した。定量分析の結果，導入期の日本企業においては，リスクテイキングと企業業績との関係においてタイムラグを考慮しても全て負の影響があることを示唆した。その一方，企業の収益性を考慮した場合，概ねタイムラグを考慮しても正の影響があることが示唆された。本研究の結果と先行研究におけるベンチャー企業に対する結果と比較し，導入期の企業とベンチャー企業の違いを明らかにしている。