抄録
上野原町の雨水はpH4.3_から_5.8で,主に酸性雨である。樹幹流は常緑針葉樹ではpH3.2_から_4.8で酸性がより強くなり,NO3_-_,SO42_-_などの陰イオンが増加する。逆に広葉樹ではpH4.6_から_8.1で酸性雨を中和する傾向がある。樹種間に差異はあるが,針葉樹では広葉樹と比べてこれらの陰イオンおよびK,Caなどの陽イオン量は地表雨より多い。樹木下の土壌のpH(KCl)は雨が多いと酸性側に移行する傾向がある。針葉樹はpH3.8_から_4.7を示し,立枯が進行するアカマツはpH3.4を呈した。広葉樹はpH4.5_から_5.5付近にあり,交換性塩基の保持量が多い。