2005 年 15 巻 1 号 p. 1-9
現在,フローサイトメトリーによる表面抗原解析の結果を示す方法は百分率表示法が一般的であるが,その解釈方法や解釈結果の報告形式が標準化されていないため,特に悪性リンパ腫症例でフローサイトメトリーの併用が普及しない最大要因の一つになっている. その問題を解消するため,私共はフローサイトメトリーによる悪性リンパ腫の免疫学的表現型検索における共通言語として,次の6つのパターンからなる表示システムを提唱した:Pattern 5 / Neoplastic,Pattern 4 / Probably Neoplastic,Pattern 3 / Atypical,Pattern 2 / Reactive with Predominant Component,Pattern 1 / Reactive and Pattern 0 / Insufficient.即ち,「Pattern 0 / Insufficient」を除けば,胃や大腸の生検組織における病理診断で使用しているGroup分類に概ねそのまま当てはめることができるようにした.そのうち「Pattern 5 / Neoplastic」の範疇は腫瘍性と判断する根拠によって次の4つに区分される:(a) Light Chain Restricted,(b) Aberrant or Expanded Population,(c) Myelo-Monocytic and (d) CD56 only. このようなパターン表示形式でフローサイトメトリーの解釈結果を報告すれば,百分率表示法よりも相手への伝達が容易になるため相互のコミュニケーションが円滑化するとともに,悪性リンパ腫症例におけるより的確な病理診断の遂行に更なる貢献ができるものと考える.