2008 年 18 巻 1 号 p. 19-24
Cortactin(EMS-1)とは,細胞骨格,細胞分化,及び細胞接着に対して重要な役割を果たしている遺伝子であり,F-actinや微小管などの因子との因果関係についても報告がある。現在までに多数の癌でのover-expressionが報告されているが,詳しい作用機序などは未だ不明である。肺癌でも好発現の傾向が見られていることから今回,si-RNAを用いてCortactinのノックダウン細胞を作成し,実験を行ったところ,F-actinの減少による運動能の低下がみられた。そして,Microtubeの局在変化が顕著に見られた。 次に,そのfibronectinをCortactinのノックダウン細胞に添加したところ,apoptosisを示唆する核異型細胞が多数見られた。 以上より,癌においてCortactinがF-actinのbinding factorとしてだけではなく,Microtubeの関連遺伝子としても働いていることが示唆された。 そして,cortactin,fibronectinの相互作用が癌細胞のapoptosisに影響を与えている事がかさねて示唆された。