2009 年 19 巻 2 号 p. 53-62
造血因子の一つである顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は近年,生体中において血管新生誘導作用を有することが確認され,一部の血管閉塞性疾患に対し,臨床治験も進められている。本研究で,G-CSFによる骨髄由来のCD11b陽性Gr-1陽性細胞,好中球分画の末梢血,組織中への動員では,生体組織中のマトリックスメタロプロテイナーゼ-9(MMP-9)の活性化が重要であることが判明した。またG-CSF によるMMP-9の活性化に伴い,動員されたこれらの分画の細胞は,末梢に形成された虚血壊死組織に対し,血管内皮増殖因子VEGFの供給源として機能し,最終的に血管新生及び組織再生を誘導することが示唆された。