2011 年 21 巻 1 号 p. 57-63
個体発生は細胞の増殖や移動,機能分化が動的に協調して変遷していく過程である。分子生物学やゲノム科学の進展によって,脊椎動物の発生に関わる様々な共通ルールが明らかとなってきた。蛍光ライブイメージングは,4 次元での定量的な解析を可能にし,分子から細胞,組織,器官,個体までのより包括的な理解を助ける。これによって,発生・発達生物医学は,分子の階層的記述から,より動的に理解することが可能になってきた。本稿では,脊椎動物の発生・発達生物医学における最近のトピックをいくつか挙げ,その動向と今後の展望について議論したい。