サイトメトリーリサーチ
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総説
免疫チェックポイントPD-1経路阻害薬の展望
濵西 潤三万代 昌紀
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2017 年 27 巻 2 号 p. 39-44

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抄録

免疫チェックポイントProgrammed cell death1(PD-1)/PD-1リガンド経路を阻害する治療薬(PD-1経路阻害薬:抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体) は,様々ながん種に対して一定の治療効果を示し,新たながん治療法として非常に注目されている。一方,PD-1経路阻害薬の奏効率は,凡そ10-30%とがん種によって異なるものの,決して高くはなく,単独投与での有用性については今後の更なる検討が必要と考えられる。そこで,今後のPD-1経路阻害薬の発展のためには,1) PD-1経路阻害薬との最適な併用療法により相加・相乗効果をえることができるような治療法を開発することであり,その成果が報告されつつある。さらに,2) 有効性を予測し,適切な治療対象を選別するようなバイオマーカーの同定であり,ゲノムワイドな網羅的遺伝子発現や変異の解析による検討が行われ始めている。また3) 免疫関連の副作用に対するさらなる管理や,投与後の増悪や後治療への影響などの解明が求められている。最後に4) PD-1経路阻害薬に対して,より治療効果benefitが高くかつ,副作用やコストを低くできるような治療法,すなわち高い“value”を有する治療への発展が期待されている。本項ではこれらの課題とPD-1経路阻害薬の展望について述べたい。

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