抄録
本稿は、Z世代のタイムパフォーマンス(タイパ)を、従来の「時短」概念だけでは捉えられない多面的な行動原理として検討する。Z世代は、膨大な情報環境と限られたリソースの中で満足度を最大化するため、「わざわざ消費する価値があるか」を基準に優先順位づけを行い、失敗回避型・状態到達型・時短型という複数のタイパを状況に応じて使い分けている。購買では失敗という最大の時間損失を避けるために慎重な情報収集を行う一方、社会的つながりを目的とした消費では“消費した状態”に最短で到達する行動が選択される。消費の達成は、対象の取得そのものではなく、消費行為を通じて望ましい状態へ到達するプロセスに価値が見いだされる。