昭和歯学会雑誌
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口腔領域へのストレスが循環動態におよぼす影響
両側咬合挙上による循環動態の変化
風間 賢剛松谷 貴代川和 忠治吉野 建二山上 芳雄
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1999 年 19 巻 4 号 p. 375-380

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抄録

歯科臨床において咬合異常を伴う咀嚼系機能障害患者の咬合改善は, 顎口腔系の症状に限らず全身的な症状も緩和することが報告されている.しかし, 咬合の変化や咬合の異常と, それらが全身に与える影響との関係はいまだ明らかにされていない.本研究は, 両側の咬合を挙上することにより実験的に咬合異常を引き起こし, テレメトリー自動計測システムを用いて, 正常血圧ラット (WKY) および高血圧自然発症ラット (SHR) における活動量, 心拍数, 収縮期および拡張期血圧を測定し, 両側咬合挙上により引き起こされるストレスがこれらのパラメータに与える影響について検討した.両側咬合挙上装置を装着して咬合異常のストレスを与えると, ストレス負荷初期 (0~6日) にはWKY, SHR共に活動量および心拍数は著しく低下し, 以後咬合挙上装置装着前と比べると, 低い値を維持した.一方, 収縮期および拡張期血圧はWKY, SHR共にストレス負荷初期に上昇した.WKYの収縮期および拡張期血圧は, ストレス負荷中期以後 (6~20日) 減少傾向がみられた.SHRの収縮期および拡張期血圧は, ストレス負荷期間上昇傾向がみられた.各パラメータにおいて, ストレス負荷初期には日内変動が不明瞭になった.両側咬合挙上によるこれらの循環動態の変化に, 交感神経系の亢進が関与していることが示唆された.

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