2009 年 25 巻 p. 134-147
フィリピン最大の湖,バイ湖(Laguna de Bay:ラグナ湖)の珪藻の写真入りチェックリストを作成するとともに,出現した珪藻と水質との関係を検討した.1976年と1997年に採集したサンプルから,37属83種の珪藻を同定し,未同定の15種とともに写真を示した.未同定種を含めた属ごとの出現種数はGomphonemaが12種で最も多く,NitzschiaおよびNaviculaの10種がこれに続いた.バイ湖の塩分は淡水湖の範疇にあった(<0.4‰)にもかかわらず,海産とされるGiffenia cocconeiformisが出現した.また,有機物および栄養塩がたいへん豊富だったにもかかわらす,好汚濁性の種は比較的少なく,一方で好清水性の種も出現した.