2009 年 25 巻 p. 45-51
本州北部,秋田県仙北市に分布する中新−鮮新世の堆積物である宮田層から見出された新種Stephanodiscus uemurae sp. nov.を記載した.本新種の以下に述べる特徴を,光学顕微鏡及び走査電子顕微鏡写真で示した.殻面が2重の同心円状に弱く波打ち,束線は殻の中心では1列であるが殻面/殻套境界では2列〜3列になる.針はすべての殻面/殻套境界の間束線上にあるが,殻套有基突起の開口がある間束線上には存在しない.殻套有基突起の開口は普通,間束線の2—3本ごとにあるが,針の位置にある場合もある.唇状突起は1個で,外管は殻面/殻套境界で1本の針と置き換わって,針の列よりやや殻面寄りに所在する.内面では殻面の胞紋列と殻套の胞紋列間にしばしば僅かな無紋域がある.普通,殻面には有基突起が存在しない.