2016 年 32 巻 p. 38-46
Gomphopleura属の3分類群,G. frickei, G. poretzkiae, G. cf. nobilisが北海道瀬棚町に分布する太櫓層嗣内部層(前期中新世淡水成層)から見出された。G. frickeiは本層から見出され記載された種で (Fricke 1904),他地域からは未だ報告されていない分類群である。G. frickeiとG. poretzkiaeは殻面観において楔形であるが,G. frickeiは中央部がほぼ平行,G. poretzkiaeは膨らむ。G. cf. nobilisは上下ほぼ対称である。走査電顕による観察ではG. frickeiとG. poretzkiaeは胞紋外側がC字形開口,殻面/殻套境界は肥厚して殻面の胞紋列は殻套へ連続しないが(頭部と足部を除く),G. cf. nobilisの胞紋はスリット状の開口で,殻面/殻套境界には肥厚が無く(例外もある),殻面の胞紋列は殻套へ連続していることで異なっていた。