Abstract
本論文の目的は、ゲーム開発のノウハウを応用したカーナビ「スムースナビ NX710」の開発 プロセスを紹介し、事後検証を行うことにある。iPhoneの発売以後、デジタル家電業界では「ユーザー体験」を重視する開発姿勢が見られるが、ユーザーの操作性などに対する潜在的な不満は募っている。 一方「NX710」の開発では、筆者が提唱する「ゲームニクス理論」をベースに、クラリオン内製チームと協同開発することで、過去の製品に見られないユーザー体験を実現できた。今回の開発から得られた帰結は以下の 3 点である。1)ゲームの操作性を応用すれば、家電製品のユー ザー体験を向上させられる。2)プレイアブルデモの開発が有効である。3)開発はトップダウンで行い、 ハードとソフトの縦割り構造を取り払うことが重要である。