薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
新規抗アレルギー薬KW-4679の体内動態(第1報): 14C-KW-4679 のラットにおける単回投与時の吸収,分布および排泄
大石 孝義西家 弘佳小林 弘幸小林 智
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1995 年 10 巻 5 号 p. 651-668

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抄録

雌雄ラットに 14C-KW-4679 を 1mg/kg 経口および静脈内投与した時の吸収,分布および排世,さらにラットでの13週反復投与毒性試験において体重増加抑制が認められた 25mg/kg 経口役与した時の雄性ラットにおける吸収および排泄について検討した.L消化管からの吸収は速やかであり,1mg/kg 径口投与後の吸収率は 91% 以上と推測された.主な消化管吸収部位は十二指腸から空腸と推測された.
2.絶食下の雄性ラットに 1mg/kg 経口投与した時,血漿中放射能濃度は投与後 0.5時間に Cmaxを示した後二相性に消失し,消失相の半減期は 16.8 時間であった.投与後96時間までに尿中に投与放射能の 42.6%,糞中に53.5% が排泄された.胆汁中には投与後72時間までに 46.0% が排泄された.尿,糞および胆汁への排泄は24時間以内にほとんど終了していた.
3.非絶食ラットに経口投与すると絶食ラットに比べ,Tmax の遅延および Cmax の低下が認められた.AUC0-∞ は同程度であった.尿中および糞中への放射能の排泄率には絶食および非絶食下投与で差は認められなかった.
4.雌性ラットに経口投与すると雄性ラットに比べて,AUC0-∞ は約18%大きかった.糞中排泄率は少なく,尿中排泄率が高い傾向を示した.
5.絶食下の雄性ラットに 1mg/kg 静脈内投与した時,血漿中放射能濃度は投与後三相性に消失し,消失相の半減期は 34.2時間であった.投与後96時間までに尿中に投与放射能の 51.7%,糞中に 43.0% が排泄された.
6.絶食下の雄性ラットに 1mg/kg 経口投与後の放射能は組織に速やかに分布し,ほとんどの組織では最初の測定時間である投与後 0.5時間に最高濃度を示した.消化管以外では肝臓,腎臓および膀胱に血漿中放射能より高い分布が認められた.脳内放射能濃度は測定した組織中で最も低く,血漿中放射能濃度の約1/25であった.組織内放射能は血漿中放射能濃度とほぼ平行に消失し,特に残留を示す組織は認められなかった.
7.胆汁中に排泄された放射能は再吸収され,腸肝循環が認められた.
8.絶食下の雄性ラットに 14C-KW-4679 を 25mg/kg 経口投与すると 1mg/kg 経口投与した時に比べて,血漿中放射能濃度の Tmax は同値を示し,用量換算後の Cmax および AUC0-t はほぼ同程度であった.排泄では 1mg/kg 経口投与時に比べ尿中排泄率が高く,糞中排泄率は低かった.

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