薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
ラットにおける3-methyl-1-phenyl-2-pyrazolin-5-one(MCI-186)の体内動態に関する研究(2):反復静脈内投与時の血中濃度推移,分布,代謝,排泄および蓄積性
小松 貞子中井 弘司正木 克佳尾畑 莉恵中井 恵子飯田 成宇
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1996 年 11 巻 5 号 p. 481-491

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抄録

雄性ラットに14C-MCI-186を2mg/kg/dayの用量で単回または7,14,21日間反復静脈内投与し,血中濃度推移,分布,代謝,排泄および蓄積性について検討を行った.以下にその要約を示す.
1.反復投与期間中の各回投与後5minの組織内放射能濃度は血管(動脈)を除きほぼ一定で推移した.各回投与後24hrの組織内放射能濃度は単回投与後の値に比べ2~9倍に上昇したが,7または14日間の反復投与により飽和する傾向を示した.血球移行率も反復投与により上昇した.また21日間反復投与終了後の各組織からの放射能の消失は遅廷し,特に血管(動脈)からの消失は遅延した.
2.反復投与期間中の各回投与後5minの血漿,肝臓,腎臓,脳中の未変化体および代謝物濃度は,肝臓中の未変化体濃度が反復投与により低下傾向を示した以外は反復投与により大きく変化しなかった.
3.21回反復投与期間中,投与した放射能は一定の割合で尿,糞中に排泄された.反復投与終了後192hrまでに総投与量の88%が尿中に,10%が糞中に排泄され,合計では99%に達し,体内に残存している量はわずかであると考えられた.尿中への未変化体および代謝物の排泄率も,MCI-186 glucuronideの排泄率が反復投与により低下傾向を示したものの,他は反復投与により大きく変化しなかった.

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© 日本薬物動態学会
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