薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
14C-Meloxicamの薬物動態(第1報):ラットにおける単回および反復投与後の吸収,分布および排泄
大岩 陽子柴田 勉倉員 良治仙田 千晶栗谷 美穂山下 和宏長倉 明人松村 理一郎小林 捷治
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1997 年 12 巻 2 号 p. 108-117

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抄録

ラットに14C-meloxicalnを1mg/kgの用量で1日1回反復経口投与したときの吸収,分布および排泄について検討した.比較のために1mg/kgの用量で単回投与試験も実施した.
1.雄ラットに静脈内投与したとき,血漿中放射能濃度は分布相において速やかに消失した後,半減期(t1/2)15.5時間で比較的緩やかに消失した.
2.雄ラットに経口投与したとき,血漿中放射能濃度は4時間から10時間にかけてほぼ一定濃度を維持するピークを示した.Cmaxは3.23μg eq./ml,t1/2は14.5時間であった.吸収率は68.6%であった.
3.雄ラットに経口投与したとき,放射能濃度は消化管,肝臓,血漿,全血および腎臓,ついで肺,甲状腺および心臓で高かった.ほとんどの組織中放射能濃度は投与後4時間で最高となり,その後低下した.脳および血球中の放射能濃度は非常に低かった.雌ラットでは投与後48時間の放射能濃度が雄ラットよりかなり高かった.
4.雄ラットに経口投与後,56.7%が尿中へ,39.0%が糞中へ排泄された.静脈内投与後の胆汁中排泄率は19.8%であった.雌ラットでは尿糞中排泄および胆汁中排泄ともに雄ラットより遅かった.
5.雄ラットに反復経口投与したとき,血漿中放射能濃度は3日目にほぼ定常状態に達した.反復経口投与により本薬の薬物動態は変化しなかった.
6.7日間雄ラットに反復経口投与したとき,体内分布パターンは単回投与時と類似していた.最終回投与後168時間の放射能濃度は甲状腺ではやや高かったが,ほとんどの組織で4時間値の約1/60以下に低下していた.尿糞中排泄率は単回投与時と類似していた.

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