薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
ベシル酸ベトタスチン(TAU-284)の体内動態に関する研究(II):ラットにおける胎児および乳汁移行ならびに反復投与時の分布および排泄
築本 美喜子大橋 力也仲村 進大塚 峯三林 一志西山 真一郎塙 真也三次 孝一江角 凱夫
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1997 年 12 巻 5 号 p. 439-459

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抄録

1.14C-TAU-284の3mg/kgを雄ラットに1日1回21日間で反復経口投与後24時間の血液中放射能濃度は投与回数に伴い上昇し,投与16回でプラトーに達した.血液中濃度の減少は単回投与時より緩慢であった.
2.14C-TAU-284の3mg/kgを雄ラットに1日1回21日間で反復経口投与時の臓器・組織内放射能濃度は,単回投与時と同様に消化管を除いて肝臓および腎臓がもっとも高く,大脳,小脳,眼球,白色脂肪,精巣上体および精巣は低く,他の臓器は中程度であった.また,臓器・組織内放射能濃度は投与回数によって増加した.
3.14C-TAU-284の3mg/kgを雄ラットに1日1回21日間反復経口投与した時の血球移行率は単回投与時より増加していた.また,3および30mg/kgを雄ラットに1日1回14日間反復経口投与後24時間の赤血球中放射能の大部分はグロビン画分に存在していた.
4.14C-TAU-284の3mg/kgを雄ラットに1日1回21日間反復経口投与した時の毎回投与後24時間までの尿および糞中放射能排泄率は投与回数によって変化しなかった.
5.14C-TAU-284の3mg/kgを妊娠18日のラットに経口投与した時,投与後30分の胎児の各組織内濃度は肝臓が母体血漿中濃度と同程度であり,その他の胎児組織は1/3~1/10であった.
6.14C-TAU-284の3mg/kgを分娩後11日の授乳ラットに経口投与した時,乳汁中放射能濃度は投与後1時間に最高濃度の0.40μg eq./mlを示し,48時間では検出限界以下となった.また,乳汁中濃度はいずれの時点とも母獣血漿中濃度より高かった.

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