薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
[14C]NB-506の体内動態:ラットにおける単回および反復静脈内投与後の血漿中動態,分布,代謝および排泄
石井 美樹夫武永 敬博石崎 弘之亀井 敏夫二宮 真一江角 凱夫
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 13 巻 4 号 p. 337-345

詳細
抄録
[14C]NB-506を雌雄ラットに単回もしくは反復静脈内投与した後の血漿中濃度推移,分布,代謝および排泄について検討した.
1.[14C]NB-506は静脈内投与後,雌雄ラットにおいていずれも速やかに消失し,3相性を示した.雄では22分,2.4時間および2.1日のt1/2で,雌では20分,3.7時間および1.8日のt1/2で雌雄で差はなく,またAUC値も類似していた.
2.静脈内投与後の組織内放射能濃度の最高値は,ほとんどの組織で投与後10分であり,速やかかつ良好な組織移行性を示し,肝臓,腎臓,肺,顎下腺,皮膚および脾臓に高濃度に分布した.投与後24時間では肝臓および腎臓を除き血漿中濃度と同等かあるいはそれ以下であり,72時間後では10分に比べていずれの組織も1%以下程度に減少した.
3.雄ラットに[14C]NB-506を静脈内投与後,9.8%が尿中に,88.3%が糞中に,雌では6.8%が尿中に,94.8%が糞中にそれぞれ排泄された。また,雌雄ラットともに約83%が胆汁中に排泄され,主排泄経路は胆汁排泄であった.腸肝循環は認められなかった.
4.雄ラットに[14C]NB-506を静脈内投与後の胆汁中(0-6時間)には未変化体が投与量の40.0%存在し,NB-506グルクロソ酸抱合体(ED-594)が23.8%,NB-506脱ホルミル体(ED-501)が6.3%,ED-501グルクロソ酸抱合体(ED-595)が1.5%であった.また,尿中(0-4時間)にも未変化体がもっとも多く存在し,さらにED-594およびED-501も認められた.
5.雄性ラットに[14C]NB-506を1日1回5日間反復静脈内投与した後の,5日目の5分,4および24時間後の血漿中濃度はいずれも初日と比べて高値を示し,また,t1/2γおよびAUCの薬物動態パラメータ値も2.3および2.1倍それぞれ増加していた.このことは,反復投与によって血漿中の放射能濃度は蓄積傾向を示すことが示唆された.しかし,血漿の蓄積率は予想された蓄積係数とほぼ一致していたことより,問題となる蓄積性を生ずる可能性は低いと考えられる.
6.反復静脈内投与後の尿および糞への排泄は投与期間中ほぼ一定であり,5日間投与後168時間までに総投与量の7.5%が尿中に,90.1%が糞中に排泄された.
著者関連情報
© 日本薬物動態学会
前の記事 次の記事
feedback
Top