薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
Propiverine hydrochlorideの体内動態(第5報):動物種差および蛋白結合性
津田 益広山本 佳男宇田 和彦新藤 恭司川口 安郎
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1991 年 6 巻 1 号 p. 3-20

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抄録
P-4の種々の動物におけるin vivo, in vitroでの動物種差について検討し,P-4の代謝経路について考察した.また,in vitroにおける血清蛋白結合性の種差についても検討し,以下の結果を得た.
1.P-4をラットに10mg/kgの用量で経口および静脈内投与した場合の未変化体のAUCを比較して算出したbioavailabilityは約2%と小さく,初回通過効果が確認された.イヌの場合は約49%であり,ラットに比べて初回通過効果は弱いものであった.
2.in vitro代謝実験の結果から,P-4からP-4(N→O)への代謝およびそれ以降の代謝速度はいずれの動物種においても肝が最も高かった.しかしながら,代謝速度には種差がみられ,ラットにおいては最も速く,イヌおよびサルでは比較的遅かった.また,サルおよびイヌにおいては,小腸においてもP-4はわずかに代謝を受けた.
3.P-4は吸収後,肝薬物代謝酵素によりピペリジソ環窒素の酸化を受けてP-4(N→O)へと代謝され,さらに脱プロピル化によりDPr-P-4(N→O)へと代謝されるか,あるいはプロピル側鎖のω-1位の水酸化後分子内エステル交換により脱ピペリジンエステル化の起こったγ-1-OH-Pr-BA(L)へと代謝された後排泄されることが確認された.
4.P-4の血清蛋白結合率に種差はほとんど認められず,89~91%であった.活性代謝物のP-4(N→O),DPr-P-4(N→O)の結合率はいずれも未変化体より低く,それぞれ63~83,26~34%であった.
5.低濃度域において,P-4はHSAに対しては79~85%の結合率を示し,α1-AGPに対しては96~98%の高い結合率を示した.P-4のHSAおよびα1-AGPに対するK値は,それぞれ0.5 × 106(M-1)および4.6 × 106(M-1)であり,α-1AGPに対するK値はHSAに対するそれよりも約10倍の高値を示した.
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