薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
Neticonazoleの体内動態(第1報)ラットにおける単回皮下投与後の吸収,分布,代謝および排泄
矢野 憲一大野 洋光沼田 洋江角 凱夫三次 孝一大山 利広渡辺 勇夫和田 玲子谷田部 尚美上田 隆夫菅井 三郎
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1991 年 6 巻 4 号 p. 515-534

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抄録

14C-SS717をラットに25mg/kg皮下投与し,その吸収,分布,排泄および代謝について検討した.
1.血液中放射能濃度は,雌雄とも投与後4時間に最高濃度(雄2.01,雌1.59μg/m1,SS717換算)を示し,以後168時間まで2相性で緩慢に消失した.
2.投与後120時間までの尿および糞中排泄率は,雄でそれぞれ投与量の65.4%および29.5%,雌でそれぞれ64.8および32.7%であった.
3.投与後48時間までの胆汁中排泄率は,雄で投与量の51.9%,雌で46.7%であった.同時に採取した投与後48時間までの尿および糞中に,雄で投与量のそれぞれ46.7および2.0%,雌でそれぞれ49.6および2.7%が排泄された.また,胆汁中への排泄された放射能物質の腸肝循環が認められた.4.組織内分布は副腎,肝,腎,大動脈,靱帯,脂肪およびハーダー腺に高く,眼球および中枢神経系に低かった.大動脈および肺からの消失は他の組織と比較して緩慢であった.また,全身オートラジオグラムより,胃内分泌が認められた.
5.in vivoにおける血漿蛋白結合率は62.0~79.3%であった.また,in vitroにおける14C-SS717の血漿蛋白結合率は,ラットで98.7~99.0%,ヒトで99.2~99.7%であった.
6.投与後1時間の血漿中には未変化体が20.5%認められ,U-1,U-2,U-3,U-5,U-6およびM3が1.9~7.8%認められた.その後未変化体は経時的に減少したが,ほとんどの代謝物はほぼ一定の割合であった,投与後0~24時間の尿中にはU-2が17.1%,U-6が14.1%認められたほか,U-1,U-3,U-4,U-5および5種の未知代謝物(Mu1~Mu5)が0.5~9.7%認められた.酵素加水分解後には新たに未知代謝物(Mu6)が2.2%生成したが,ほかは酵素加水分解前と同様であった.投与後0~24時間の胆汁中にはU-2,U-5,U-6の他,6種の未知代謝物(Mu1~Mb6)が0.2~2.2%認められた.酵素加水分解後にはU-5が9.5%に増加し,U-3が新たに3.7%生成したほか,U-2,U-6および12種の未知代謝物(Mbh1~Mbh12)が0.5~6.2%認められ,そのうちの多数は新たに生成した代謝物であった.

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© 日本薬物動態学会
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