薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
DR-3355の体内動態(第1報):ラットにおける単回経ロ投与時の吸収,分布および排泄
青木 浩之岡崎 治倉田 忠司新谷 尚三立澤 晴男伯水 英夫
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1991 年 6 巻 5 号 p. 793-803

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抄録

ラットに14C-DR-3355(20mg/kg)を単回経口投与し,その体内動態を検討した.
放射能は投与後速やかに吸収され,血液および血清中放射能濃度ともに30分でtmaxに達した.Cmaxは,血液および血清でそれぞれ2.51および3.23μg/ml(DR-3355換算)であった.血液および血清の生物学的半減期は,それぞれ1.7および1.9時間で投与後24時間には0.05μg/ml以下に減衰した.
組織内放射能濃度は血中濃度とほぼ平行に推移し,比較的速やかに減衰した.DR-3355の組織移行性は良好であり,中枢神経系および脂肪を除く大部分の組織によく分布した.血球結合率および血清蛋白結合率は,それぞれ28~33%および40~51%の範囲にあり,経時的にほぼ一定していた.
尿および糞中放射能排泄率は,それぞれ投与量の43.8および56.8%であり,投与した放射能のほとんどすべてが投与後48時間までに尿および糞中に回収された.胆汁排泄試験においては,胆汁中に投与放射能の57.4%が,尿中には36.8%が排泄された.これらの成績から,経口投与後糞中へ排泄される放射能は,胆汁排泄由来であり,本剤の経口吸収がほぼ完全に行われることが判明した.さらに,胆汁中に排泄された放射能は,腸肝循環によりそのほとんどが再吸収されることも明らかとなった.

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© 日本薬物動態学会
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