薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
TC-81の生体内動態―ラットおよびイヌにおける代謝―
種田 正樹有園 宏教佐藤 裕明松永 高志佐藤 順一田辺 裕史竹下 徹
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1992 年 7 巻 6 号 p. 853-869

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抄録

14C-TC-81をラットに0.3,1.0および3.0mg/kgで単回経口投与したときの尿中,胆汁中および血漿中の,また,イヌに0.1mg/kgで単回経口投与したときの尿中の代謝物について検討を行った.
1.質量分析計およびTLCもしくはHPLCを用い,合成標品とのマスフラグメントの比較およびco-chromatographyにて15種の代謝物を同定した.
2.ラット尿中の主代謝物はM-7もしくはM-12であり,その排泄量は,投与後24時間までに投与量の1.0%を占めた.
3.ラット胆汁中の主代謝物はM-11であり,その排泄量は,投与後48時間までに投与量の10.4%を占めた.
4.ラット血漿中代謝物としてM-4およびM-6を同定した.M-4は投与後半減期1.0~2.6時間で一相性に消失するのに対して,M-6の消失は,α相の消失半減期が2.7~7.7時間,β相の消失半減期が42.7~58.0時間で二相性に消失した.
5.イヌ尿中の主代謝物はM-14であり,その排泄量は,投与後24時間までに投与量の4.3%を占めた.
6.TC-81の代謝は,1)ジヒドロピリジン環のピリジン環への酸化,2)ジヒドロピリジン環およびピリジン環3位の側鎖の代謝,3)ジヒドロピリジン環およびピリジン環5位のメチルエステルの切断,4)ピリジン環2位もしくは6位のメチル基の水酸化,5)第二相抱合反応,および6)脱フッ素反応に大別された.

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© 日本薬物動態学会
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