薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
ヒト尿由来Kallidinogenase(SK-827)の体内動態に関する研究(2)ラットに単回または反復投与した時の組織内分布,蓄積性および単回投与後の尿-胆汁中排泄
中山 幸晴見藤 泰臣古田 禎之祖父江 彰洋井上 恒昭黒野 昌庸
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1994 年 9 巻 1 号 p. 15-39

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抄録

125I-SK-827を雄性ラットに単回投与(急速静脈内投与および持続静脈内投与)あるいは反復投与(急速静脈内投与)したときの組織内分布,さらに急速静脈内投与後の尿中および胆汁中排泄について確認した.
1.125I-SK-827を急速静脈内投与(5×10-3PNAU/kg)したとき,
1)血液中TCA不溶性画分の放射能濃度は投与後1時間まで速やかに低下し,以降は緩やかに低下した.
2)投与後5分~1時間に肝臓,副腎,脾臓,腎臓および骨髄に血液より高いTCA不溶性画分の放射能濃度が認められた.特に投与後5~15分において肝臓に最も高い放射能が検出され,投与量の90%以上の放射能が存在した.
3)各臓器中TCA不溶性画分の放射能濃度は投与後1時間まで速やかに低下し,以降は血液より速いか同等の速度で低下した.
4)急速静脈内投与と持続静脈内投与の結果を比較すると,放射能およびTCA不溶性画分の放射能の分布状況は一致した.
2.125I-SK-827の反復投与により4回投与と7回投与におけるTCA不溶性画分の放射能濃度はいずれの組織においても差はなく,4回投与以後TCA不溶性画分の放射能は定常状態に達した.
3.125I-SK-827を急速静脈内投与(5×10-3PNAU/kg)した後の尿中放射能排泄率は,投与後24時間までに投与放射能量の90%以上であった.その内,TCA不溶性画分の放射能の排泄率は約1%であり,投与後3時間までにTCA不溶性画分の放射能の排泄は終了した.
4.125I-SK-827を急速静脈内投与(5×10-3PNAU/kg)した後の胆汁中放射能排泄率は投与後48時間までに投与放射能量の約20%であった.その内,TCA不溶性画分の放射能の排泄率は約3%であり,投与後3時間までにTCA不溶性画分の放射能の排泄は終了した.

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