我々は正常ヒト由来培養線維芽細胞(以後,NB1細胞)を用いてCa/Mg比に関する研究を行い,その増加が特に老化した細胞の活性を低下させることをすでに本誌で報告した.また本論文ではCa/Mg比の増加がNB1細胞の石灰化を促進し,さらにこの現象は細胞の老化に伴って顕著となることが示唆された.しかしながらこのような場合においても,伊豆赤沢海洋深層水の添加により,NB1細胞の石灰化が抑制されることがわかった.本研究の結果から,食の欧米化に伴いCa/Mg比が増加する傾向にある現代の日本の食餌において,海洋深層水の利用は細胞の石灰化を抑制する点で健康維持上,一つの有用なアプローチになると期待される.