海洋深層水研究
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高知県海洋深層水研究所の養殖施設から採集した付着珪藻
鈴木 秀和阿部 祐子藤田 大介南雲 保
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2007 年 8 巻 1 号 p. 27-37

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抄録

高知県海洋深層水研究所内の養殖施設 (水温10~16℃) の6水槽9試料に出現した付着珪藻を光学顕微鏡で調べ, 21属37種の出現を確かめた.主要種は, Navicula agnita, Craspedostaurosdecipiens, Nitzschia laevis, Gomphoseptatum aestuarii, Diploneis papula, Tabularia fasciculataおよびT. investiensで, このうちC. decipiens, G. aestuarii およびD. Papulaは少なくとも1試料で相対頻度の最高ランク (>50%) を示した. 低温 (10℃ 以下) の海洋深層水 (DSW) が利用されている富山県内の2養殖施設で報告された種も確認された. DSWを40日間かけ流しただけの覆い付き屋外水槽では4種しか出現せず, DSWの清浄性が確かめられた. アワビ養殖の3 (屋外2, 屋外1) 水槽には12-24種が出現し, 特に表層海水を混ぜた屋内水槽で種数が最も多かった.屋外コンブ水槽から8, 屋内エビ水槽から4種が出現した.以上, 生物 (特にアワビ) の飼育や表層海水の混入がDSW中の付着珪藻の種数を増やし, 相対頻度の高い種はDSWでの培養有望種として期待できると結論した.

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