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近年、脱炭素化社会を目指した動き、たとえば、自動車の電動化や再生エネルギーの利用拡大などに伴い、“世界規模でレアメタル需要が急増”しており、レアメタルの精錬やリサイクルに関する新技術の開発の重要性が一段と高まっている。また、最近は、ウクライナ危機に端を発した東西の分断により、ロシアや中国等の国からのレアメタルの供給が途絶する可能性も危惧されているため、資源セキュリティという観点からも、レアメタルのサプライチェーンの多様化やリサイクルの重要性が再認識されている。一方で、レアメタルの採掘や製造に伴い、海外では環境破壊が進んでいる。本講演では、電池材料を中心として、レアメタルの需要や生産などに関する現状と課題について概説し、レアメタルに対する誤解や偏見、さらには、日本では知ることが出来ない“裏の問題”についても紹介する。日本に蓄積されたレアメタルをリサイクルすれば、資源問題は解決するといった都市鉱山神話ならぬ誤解が蔓延しているが、レアメタル供給、とくにレアメタル資源のボトルネックやリサイクルの問題点について解説する。また、レアメタルのリサイクルに関する環境問題や経済合理性等のジレンマ、リサイクルを実施する場合の問題点についても解説する。最近、東大・生研で行われている産学連携についても紹介する。