日本液晶学会討論会講演予稿集
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2010年 日本液晶学会討論会
セッションID: 2a01
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キュービック液晶BABH-nのキュービック相の構造転移および安定性に及ぼす圧力効果
*前田 洋治森 博幸沓水 祥一櫻井 伸一
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抄録

キュービック液晶の1つであるヒドラジン系化合物(BABH-n、nは分子末端のアルコキシ鎖中の炭素原子の数でn=8~18)同族体のうち、BABH-12~BABH-18は常圧でCr-Cub-I転移を示すが、BABHー12とBABH-18はIa3d-Cub相、BABH-14はIm3mーCub相、BABH-13、-15、-16は両方のCub相を示すことが知られている。これらの化合物の相転移挙動の圧力依存性を圧力下の偏光顕微鏡観察により光学的に検討し、ある程度相転移挙動が明らかにできたが、Cub相については区別できず、ひとくくりで扱かった。今回はX線回折法により二種類のcubic構造の安定性の違いを明らかにすべく、常圧~140MPaの範囲で構造解析を行った。特にBABH-16はIa3d型とIm3m型の二つのCub相は常圧~55MPaまで観測されたが、55MPa以上ではIm3m-Cub相は発現せず、代わりにSmC(hp)相が誘起され、55~100MPaの範囲でCr-SmC(hp)-Ia3d-Cub-Iの相系列を示した。100MPa以上の高圧域ではSmC(hp)相だけ観測され、Cr-SmC(hp)-Iの相系列となった。またBABH-14では常圧~17MPaでIm3m-Cub相のみが観測されるが、17~45MPaでIa3d-Cub相に変わり、45MPa以上でCr-SmC(hp)-Ia3d-Cub-I転移が観測された。いくつか新しい実験事実が明らかになり、解析した。

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© 2010 日本液晶学会
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