抄録
液晶ディスプレイの動作原理を実現する際、ネマティック液晶分子を液晶セル中で一様配向し、アンカリングさせるためには、高分子配向膜に対するラビングが必要不可欠であるという考えが最も一般的である。これに対して本報告では、ラビングなしでネマティック液晶分子を一様配向させ、アンカリングする「自己配向法」という新しい配向法を提案する。さらに、本報告の自己配向法と、従来のラビング法によって得られた、2つの一様配向状態のアンカリング強度を比較した結果、両者はほぼ同じであることがわかった。すなわち、少なくともPMMAにおいては、ラビングの有無はアンカリング強度に影響を与えないことが証明された。このことは改めて、液晶分子を配向させる力と、基板にアンカリングする力は、本質的に異なる物理的起源に基づくことを初めて明確に示した結果である。