実験動物
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ラットW1, W2の2亜系と, それらの正逆交配F1の血液性状, 肝脱水素能の比較
猪 貴義石垣 貞夫森 彰
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1961 年 10 巻 3 号 p. 91-96

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抄録
同一起源のWistar系ラットより分系育種された2亜系のW1とW2, およびそれらの正逆交配によるF1のW1 (♀) ×W2 (♂) , W2 (♀) ×W1 (♂) の生理的特性を明らかにするために, 血液性状, 特に, 赤血球数, 白血球数, hemoglobin量, 血清蛋白濃度, 白血球の分類について, また, 肝脱水素能について2亜系とF1間の差異について比較検討した結果, 赤血球数, 白血球数, hemoglobin量において差のあることを認めた。
赤1血球数については, W1は867万, W2は, 777万, W1×W2は878万, W2×W1は786万であり, 白血球数については, W1は5, 871, W2は7, 750, W1×W2は6, 356, W2×W1は7, 242である。
Hemoglobin量については, W1は16.49g/dl, W2は16.06g/d1, W1×W2は16.40g/d1, W2×W1は15.10g/dlであった。
なお, F1の赤血球数, 白血球数, hemoglobin量について, これらの値の高い母親の亜系から生まれたF1が低い値を示した母親の亜系から生まれたF1よりも高い値を示し, F1の血液性状に母体効果のあることが認められた。
F1のPotenceを計算して, heterosis効果を判定したが, 赤血球数において, W1×W2が両親の2亜系よりも高い値を示し, heterosisがみられた。また, hemoglobin量についてはW2×W1が両親の2亜系より低い値を示したが, 他は両親の2亜系の中間値を示した。
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© 社団法人日本実験動物学会
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