実験動物
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マウス・ラットの人工授精法の検討
猪 貴義
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1961 年 10 巻 4-6 号 p. 107-110

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抄録

マウス, ラットの人工授精法について, 偽妊娠誘起法, 授精適期の判定, 精液の採取, 精液稀釈液, 精液注入法などの検討を行なったのち, マウス16例, ラット4例について人工授精を実施した。主な結果は次のものである。
1.稀釈液については, 生理的食塩水, ロック氏液, 糖燐曹液について検討したところ, マウス, ラットのいずれにおいても, ロック氏液が生理的食塩水, 糖燐曹液に比べて時間の経過に伴う精子の生存率, 活力の低下がゆるやかであり, 稀釈液として他の2つよりもすぐれていることが分った。
2.マウス16例, ラット4例について人工授精を行なった結果については, マウスのばあい, 注精時刻が9~12p.m.のものでは10例中4例が正常の子を分娩し, 1例は受胎したが妊娠15日目に流産した。注精時刻8p.m.以前のものでは6例中1例も分娩しなかった。ラットのばあい, 注精時刻9p.m.のものが1例正常の子を分娩した。
3.マウス, ラットの夜間における人工授精は自然条件における♀の交配適期の時刻に注精したばあいに成功率が高いのではないかと考えられる。

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© 社団法人日本実験動物学会
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