実験動物
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Alloxanに対するマウス系統間の糖尿発症率の比較
猪 貴義吉川 早紀男
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1966 年 15 巻 3-4 号 p. 97-103

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抄録

alloxanによる糖尿発症について, マウスの系統間で感受性に差があるかどうかを検討する目的で, 100~120日令の雄マウス10系統 (CFW, CF#1, C3H, C57BL, DDK, NC, KK, RR, SS, AA) を用いて, 糖尿発症率について系統間の比較を行なった。
alloxanの注射量は体重1kg当り40mg, 60mg, 80mg, 100mgの4区分とし, これらの量を尾静脈内に注射した。糖尿発症の判定は注射前と注射後7日目まで, 1日1回強制排尿させ, 尿を糖尿試験紙テステープに附着させた後, その呈色反応から判定を行なった。
得られた結果は次のものである。
1.系統にかかわらずalloxan注射量を増加すると, 一般に糖尿発症率は増加する。
2.alloxanに対する系統間の糖尿発症率は40mg/kg区においては, DDK系とRR系を除いた他の8系統では注射後7日目まで1例も糖尿発症はみられなかった。DDK系は注射後7日目で5.8%, RR系は30%の発症率を示した。
60mg/kg区における注射後7日目の発症率は, CFW (25.9%) , CF#1 (77.2%) , C3H (90%) , C57BL (50%) , DDK (56.6%) , NC (0%) , KK (30%) , RR (50%) , SS (53.8%) , AA (62.5%) であり, 高率に発症する系統としてCF#1, C3H, 中程度の発症率を示すものとしてC57BL, DDK, RR, SS, AA, 低率のものとしてCFW, KK, 無発症としてNCの各系統のあることが認められた。
80mg/kg区における糖尿発症率はCF#1, C3H, SSで100%, C57BL, DDK, KK, RR, AAで80~90%の範囲にあり, CFWでは68%, NCでは9.0%を示した。
100mg/kg区における糖尿発症率は, NC系を除いた他の系統はいずれも80~160%の範囲にあり, NC系は47.8%を示した。
3.alloxan注射後の発症率は, C3H系とNC系を除いた他の系統では, 一般に, 第1日目における発症率よりも第2日, 第3日目と経過するに従って発症率は増加の傾向を示したが, 5~7日自の範囲ではそれぞれの系統の発症率は安定した値を示した0
4.C3H系とNC系とでは, 注射後第1日目と第2日目の発症率が他系統に比べて特異的な型を示した。即ち, C3H系では60mg/kg, 80mg/kg, 100mg/kg区において, 注射後1日目では無発症であるが, 第2日目では発症率は急激に増加した。一方, NC系では80mg/kg, 100mg/kg注射区において, 注射後第2日目の糖尿発症率は第1日目よりも低下し, この傾向は100mg/kg区において著明であった。
5.alloxanに対するマウス系統間の感受性の差と, C3H系とNC系にみられた糖尿発症率の型の違いについて考察を加えた。

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