1977 年 26 巻 3 号 p. 267-271
3つのラット生産コロニー由来の退役ラットについてTz病CF抗体を長期にわたり検査した。コロニーAでは, Tz病の発生をみることもなく抗体が検出され, その陽性率は5~100%で約1年間にわたり単峰型の変動を示した。一方, Tz病の発生をみたコロニーBでは, 発生後約4年にわたり散発的に抗体が検出されたにすぎず, その陽性率は5~35%であった。その後コロニーBでは抗体陽性例は全く検出されず, 3週令ラットのTz病に対する感受性は病非汚染コロニー由来のものとかわらず, また, コーチゾン誘発試験で陽性を示唆する成績も得られなかった。したがって, このコローからTz菌は消失したと考えられた。コロニーCでは3年間全く抗体陽性例は検出されなかった。
コロニーBでみられたような抗体陽性パターンは, Tz病汚染をCF抗体によりチエックしようとする場合, 1回の検査では的確に判定することは困難であることを示すものであろう。