抄録
妊娠ラットを妊娠直後から33℃環境で飼育すると, 50例中26例 (52%) が妊娠18~22日目に死亡した。死亡時刻は午前1時から5時にかけての夜間に限られ, 死亡時の体温は42.0~43.7℃で, 血圧は脈波を検出できず測定でなかった。死亡した妊娠ラットの剖検所見では肺および肝臓のウッ血が主な所見であった。
体温および呼吸数の経日的変化では, 33℃群に高温の影響がみとめられたが, 出産例と, 死亡例との間に有意差はみとめられなかった。
23℃環境において, 妊娠ラットの血圧は妊娠は12~16日目では160~168mmHgと著しく上昇し, 妊娠18日目以降は140~145mmHgに下降する典型的なパターンを示した。
33℃環境の妊娠ラットでは, 出産例と死亡例とに分れ, 両者の間には血圧変動に著明な相違がみられた。出産例の血圧は妊娠中期に170mmHg以上に上昇し, 妊娠末期には妊娠前期と同様の血圧に下降した。一方, 死亡例の血圧は妊娠中期の血圧上昇が出産例に比べて小さく, 妊娠末期も中期と同様に高血圧が持続した。