Experimental Animals
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超音波診断装置によるカニクイザルの早期妊娠診断と胎仔の発育観察
長 文昭成田 勇人小野 孝浩本庄 重男
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1987 年 36 巻 3 号 p. 223-228

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抄録
超音波診断装置 (USD) を用いて, 実験用カニクイザルの妊娠診断と, 妊娠個体における胎仔の発育観察を行なった。妊娠の判定は同装置により映し出された子宮内に胎のう (GS) を検出し得るか否かによった。まず当センター繁殖コロニーの雌ザル50頭を, その交配適期に24時間交配した。それら億交配日を零日と算えて第15~29日までの間および第35日に診断し, うち20頭がこの間に妊娠と判明した。これら20頭中17頭では第17~23日の間にGSを検出することができた。GS検出時の平均胎齢は20.0日であった。GS検出後平均5.6日でGS内に胎芽心拍が認められた。残りの3頭中2頭では第28日に, 他の1頭では第35日にいずれも, GSと胎芽心拍が同時に検出された。次に, 日常的な繁殖方式である3日間交配後の225頭を対象とし, 第21, 28と35日の3回同装置により妊娠診断を試み, 96頭で妊娠が確認された。96頭中33頭 (34.1%) では第21日に, 57頭 (59.4%) では第28日に, そして残り6頭 (6.2%) では第35日にそれぞれGSが検出された。次に本装置でGSの大きさ, および胎仔の頭部大横径 (BPD) を測定することにより胎仔の発育の程度を判断することが, また, 心拍動の有無を観察することにより胎仔の生死を判定することが可能であった。以上の結果から, USDはカニクイザルの早期妊娠診断および胎仔発育観察にとって極めて有用であると判断される。
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© 社団法人日本実験動物学会
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