抄録
サーカディアンリズム発現における下垂体の役割を調べるために成熟雄ラットの下垂体を摘出し, 行動活性リズムにみられる変化を観察した。LL環境下でのフリーランニングリズムが安定した時点で下垂体を摘出した。下垂体摘出後, 2~4週間にわたり行動活性リズムが不明瞭になったが, やがて自然に回復した。再現したブリ一ランニングリズムには位相変位 (位相前進) が認められたが, このような変化は対照偽手術群には認められなかった。その後, ラットをLD環境に戻すと, 全例が正確に明暗環境に同調した。これらの結果は, 下垂体はサーカディアンリズムの維持に必須ではないが, 重要な従属発振器として働いていることを示唆している。