Experimental Animals
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Print ISSN : 0007-5124
マウス包皮腺の形態学的研究
―1.雄マウス包皮腺の光顕および透過電顕による観察―
吾郷 昭夫権田 辰夫川上 浩平佐畑 ひとみ
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1994 年 43 巻 5 号 p. 645-649

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抄録

単独飼育を続けた雄マウスの包皮腺を光顕, 電顕的に観察し, 合わせて2匹同居飼育した優位, 劣位マウスの包皮腺細胞の違いについても観察した。包皮腺の形態学的分類は分枝単一管状胞状腺で, 基底部の腺細胞は楕円形の核とエオジン好性の細胞質を含む未成熟細胞であった。中間部の腺細胞は円形の核と多数の脂肪性分泌顆粒を含む細胞質を有した成熟細胞であった。腺腔面の腺細胞は核が融解消失し, 分泌顆粒を充満した細胞がみられ, 典型的な全分泌腺の特徴がみられた。透過電顕像では基底部の腺細胞の細胞質内にはミトコンドリア, 滑面小胞体や多数のリボゾームがみられ, 中間部の腺細胞では細胞質内に多数の分泌顆粒や少数のミトコンドリアおよびリボゾームがみられた。優位群の腺細胞は対照群, 劣位群より腺細胞が増生, 肥大していた。劣位群の腺腔には脂肪性の分泌物が貯溜し, 腺細胞は圧迫され変性萎縮していた。変性細胞は中間部までおよび基底部の細胞も萎縮していた。基底部の腺細胞の透過電顕像では優位群に見られていたミトコンドリアやフリーリボゾームは劣位群にはあまり見られず, 胞体内にはミエリン様物質や小型の分泌顆粒が観察された。これらの結果より, 劣位群では排出されない分泌物が腺腔内に貯溜したため腺細胞の圧迫変性が基底部まで及び, 新しい分泌物はほとんど生産されない状態が続いたものと思われる。

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© 社団法人日本実験動物学会
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