抄録
番手が不均等なる絲に於て,或る部分に於ける番手Nと其の部分の撚密度Tとの關係は,捩りモーメントが絲の全長に亘り一定なる限り又若干の假定を許す限り理論的にT=KN2で與へられよう。式中Kは常數である。然し綿絲やヴィスコース人絹絲を用ひた模型的實驗に於ては其の實驗範圍の大部分に於てT=KNmの結果を示し,mは1~1+α(αは1より小なる正數)と見られた。其の場合には絲の横彈性係數とも云ふべき係數は絲の半径の函數で,その(1+β)乗(βは1又は1より小なる正數)に逆比例すると考へ得ればT=KNmを導くのに都合がいゝ。
然し普通の撚絲機構に於ては,加撚は撚の進入し得る一定區間の絲に一定の總撚數をかける過程と考へねばならぬ故,捩りモーメントは一定と見る事は出來ない。從つてKは常數に非ずして,加撚機構によつて定まる平均撚密度Tm,其の白由加撚區間に出て來る夫々の番手數N並に其の各〓の部分の長さLの係數でありT=(Tm∑L/∑NmL)Nmの形式が適合するであらう。∑Lは撚の進入し得る自由加撚區間の長さである。