繊維学会誌
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酢酸纎維素解重合物の鹸化について
(I) 酢酸セロビオースの酸鹸化速度
藤村 敏一
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1955 年 11 巻 5 号 p. 236-240

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抄録
二次酢酸纎維素の熟成工程に於ける低重合物の性状並びに鹸化反應に於ける重合度,水酸基の種類,末端基の影響を檢討するため酢酸セロビオースの酢酸-水-硫酸系に於ける鹸化速度に對する浴組成,温度の影響を追究した結果
(1) 反應はエステル濃度に對しては一次と見られるが,可逆二分子反應とするよりは水濃度が關係しない可逆一分子反應に近い。しかし正確には成立せず,兩者の中間にあるか,または酢酸中の水の活量が異常性を示すものと考えられる。
(2) 硫酸は速度を高めるが,平衡値は變えな觸媒と見られる。
(3) 反應初期に速度の高い部分のあるのは,末端基の存在によるものと見られる。
(4) 反應速度の温度變化より求めた活性比エネルギーが,キシロースより低いのは第一級水酸基の存在が原因と考えられる。
昭和28年春期研究發表會にて講演。御指導を賜わりたる東京大學祖父江教授に厚く御禮申上げます。
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