繊維学会誌
Online ISSN : 1884-2259
Print ISSN : 0037-9875
アクリル系合成繊維の研究
第4報 アクリロニトリル-塩化ビニリデン共重合体繊維の失透現象について
岡村 勲
著者情報
ジャーナル フリー

1958 年 14 巻 4 号 p. 205-210

詳細
抄録

一旦透明化されたAN40-VdCl60繊維は熱水で処理すると再び失透する。しかしてその失透度は繊維の吸水量に比例する。この二次膨潤による失透度は80~90°を境として急増する。しかしこの失透繊維を再び100°C以上の熱空気,または塩類水溶液で処理すれば再び透明化する。
この失透現象の原因は結局紡糸の際形成される,繊維内部の微細構造のため吸水膨潤するにある。繊維を熱処理してその吸水量を減ずることによつて,多少失透化を少くすることはできるが,いずれにしても,製織仕上加工の際注意する必要がある。
本研究につき協力された坂尻昭一氏,能宗舜二氏および藤本巌氏に謝意を表する。

著者関連情報
© (社)繊維学会
前の記事 次の記事
feedback
Top