繊維学会誌
Online ISSN : 1884-2259
Print ISSN : 0037-9875
PETとPEEとの混合紡糸
ブライコ ノビチ北尾 敏男相宅 省吾
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 37 巻 1 号 p. T9-T17

詳細
抄録

ポリエチレンテレフタレート(PET)とブロックコポリエステル・エーテル(PEE)とを混合溶融紡糸法により繊維化した。この繊維を92°Cの水中で延伸した後, 200°Cのシリコン中で熱処理した。広角X線回折, DTA,顕微鏡観察,密度測定および引張り試験により微細構造を検討した。すべてのブレンド繊維中で, PETは細い連続したフィブリルを形成しておりその周囲をPEEが取りかこんでいるようであった。1本のPETフィブリルの太さは1μmよりも細く,またそれはPET含量にほぼ比例しているといえる。PEEはその融点以上の温度で熱処理したので無配向状態であった。
この繊維は強じんである上に,弾性回復が優れていた。これは高度に配向しかつ結晶化したPETと,弾性体として挙動するPEEとの協調によるものである。この繊維の構造および引張特性を天然羊毛繊維のそれらと比較した。
PETとPEE慰との間のエステル交換反応による共重合エステルの生成はDTAや広角X線回折では証明できず,否定的であった。すなわち, DTAやX線図は単に混合していることを示すのみであった。

著者関連情報
© (社)繊維学会
前の記事 次の記事
feedback
Top